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2025.03.11

2025 F1開幕前説明会 発信概要【本田技研工業】

2025年3月4日

  

  

2025 F1開幕前説明会 発信概要
~Red Bullとのラストシーズン、
F1日本GPに先立ちF1 TOKYO FAN FESTIVALを開催~

  

  

  

  

- 2025年は1965年のHonda F1初優勝から60年となる記念の年

- F1はハードウェアに留まらず、ソフトウェアにおいても世界最先端の技術開発の舞台

- 2024年に英国・ミルトンキーンズにHRC UKを設立し、活動開始

- F1はHondaの主要市場である北米での人気が拡大、若年ファンの増加が顕著。
TV視聴者数は年間累計15億人超

- 2023年 F1の総収入は32億USドルに達し、世界有数のスポーツビジネスへ成長

- 鈴鹿サーキットでのF1グランプリ継続開催に向け、BtoC・BtoBでタッチポイントを拡大

- メモラビリア事業を検討、一例としてアイルトン・セナが使用したV10エンジンの部品を販売予定

  

 本田技研工業株式会社(以下、Honda)、レース運営子会社の株式会社ホンダ・レーシング(以下、HRC)、鈴鹿サーキット運営子会社のホンダモビリティランド株式会社(以下、HML)は、本日、FIA※1フォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)の2025年シーズン開幕にあたり、F1開幕前説明会を開催しました。HRC代表取締役社長 渡辺 康治(わたなべ こうじ)、HRC F1 パワーユニット開発総責任者 角田 哲史(かくだ てつし)、HML代表取締役社長 斎藤 毅(さいとう つよし)が出席して説明を行いましたので、以下、その概要をお知らせします。

  

  

HondaとF1の関わり

F1初優勝から60年

 1964年、HondaはF1への挑戦を開始しました。当時のHondaは、四輪車生産を始めてまだ2年目。無謀ともいえますが、高い目標を掲げ、果敢に挑むというHondaの企業文化を象徴する挑戦でした。1964年シーズンは3レースに出場したものの、全てリタイアに終わりました。翌1965年、最終戦となるメキシコグランプリは標高2,000mの高地での開催であり、空気が希薄なため、エンジンに厳しいサーキットでした。そこでHondaが開発した燃料噴射装置が非常に有効に働き、Hondaのマシン「RA272」は、スタートからフィニッシュまで終始トップを走り続け、F1初優勝を果たしました。2025年は、初優勝から60年の節目の年に当たります。

  

  

1965年メキシコグランプリでの初優勝の様子
動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=l0WCzuvMEfg

  

  

現代F1の進化と、HRCのオペレーション

 1964年の初参戦から60年以上が経過し、時代や環境は大きく変わりました。2014年にはF1がハイブリッド技術を導入し、「エンジン」は「パワーユニット(以下、PU)」に変わりました。Honda F1第三期の2008年から、ハイブリッドシステム搭載後の2016年の8年間で、最高出力は200馬力以上向上し、一方で最高出力が出る瞬間に必要な燃料は3分の2にまで抑えられるようになりました。現代のF1は、燃料の持つエネルギーを最大限動力に換えるため、熱効率を極限まで高める、世界一のハードウェアを決める技術開発の舞台になっています。

 また、デジタル技術の進化も大きな変化です。F1マシンに取り付けた数百個のセンサーからの情報は、瞬時に栃木県にあるHRC Sakuraに送られ、解析され、次のマシンセッティングに反映されます。取得するデータの項目は、F1第三期の時代には3,000ほどであったものが、現在は20,000以上にまで増加しています。これらのデータを解析して、PUに何が起きているのか把握して性能を引き出さなければ、F1の戦いで勝つことはできません。例えば、レース中もリアルタイムでPUのエネルギーマネジメントを変更しながら戦っています。これらの解析・設定に使用するソフトウェアもHRCで開発しています。F1はハードだけでなくソフトも含めた、世界最先端のデジタルの戦いでもあります。

 また、現代F1はレース数が増加し、2025年は世界中で24戦が行われる予定であり、その3分の1を欧州が占めます。1シーズンを戦うには複雑なオペレーションが要求されるため、2023年に米国のHPDをHRC USに改編したことに続き、2024年には英国・ミルトンキーンズにHRC UKを設立し、活動を開始しました。HRC UKは、新たにAston Martin Formula One Teamとタッグを組む2026年以降も、Honda F1の活動拠点として重要な位置づけとなります。

  


F1開催サーキットとリアルタイムで結ばれている
HRC SakuraのSMR(Sakura Mission Room)

HRC UK

  

  

F1挑戦の意義:技術者を育てる

 F1は2週間ごと、時には毎週レースがあり、限られた時間で目標を設定して1馬力を積み上げ、現場では千分の1秒を争う圧倒的な速さと精度が求められます。こうした環境に身を置くことでしか得られない経験は、技術者を大きく成長させます。
 F1は最先端であるがゆえに、そこで使われる技術はそのまま製品に適用できるものではありません。しかし、F1を経験したエンジニアが、量産車のハイブリッド技術「e:HEV」や、「eVTOL」の開発に携わるなど、Honda全体で新たな価値を生み出す原動力になっています。

  

  

2025年 Red Bullとのラストシーズン、そして2026年へ

 2018年に始まったF1でのRed Bullグループとのコラボレーションは今年が最終年となります。2019年オーストリアグランプリでのHonda F1第四期初優勝、ブラジルグランプリでの1-2フィニッシュ、2020年イタリアグランプリでのScuderia AlphaTauriの優勝。そして2023年には22戦21勝という、F1史上過去最高の勝率、そのいずれをもRed Bullグループとともに成し遂げました。またHondaの技術が入ったPUが、マックス・フェルスタッペン選手の2021年から4年連続でのドライバーズチャンピオン獲得に貢献してきました。ラストシーズンとなる2025年も、チャンピオン獲得を目指し、最後まで全力で戦っていきます。

  


2019年オーストリアグランプリで優勝した
フェルスタッペン選手

2021年ドライバーズチャンピオンを獲得した
フェルスタッペン選手

  

 2026年シーズンは車体もPUも新しいレギュレーションとなります。現在、エンジンとモーターの最高出力の比率はおよそ8対2ですが、2026年にはほぼ5対5となり、単位時間に使用できる燃料の量も減少します。また、燃料は100%カーボンニュートラル燃料が義務付けられます。さらに、こうした技術開発を一定のコスト制限の下で行う規則が適用されます。
 これら3点の新レギュレーションは、F1のサステナブルな未来への志向に基づくものであり、Hondaのカーボンニュートラルの方向性に合致しています。新レギュレーションは高いハードルではありますが、2026年シーズンに向けて、引き続き全力で開発に取り組んでいきます。

  

  

F1活動によるブランド力向上

F1の成長:北米での人気の高まり

 1950年に始まったF1は、世界最高峰の四輪レースとして地位を確立し、今年で75周年を迎えます。テクノロジーを競い合う競技・スポーツとしての側面はもちろん、世界有数のエンターテインメントとして広がりをみせています。年間延べ650万人がサーキットで観戦、TV視聴者数は年間で累計15億人を超え、グローバルファンは7億人以上といわれています※2。
 背景には、2016年に米国企業のリバティメディアがF1の興行権を買収したことや、Netflixのドキュメンタリー番組による北米でのF1人気の高まりがあり、2025年は全24戦中5戦が北米で開催される予定です。
 また、2023年のF1の総収入は、前年比25%増加の32億USドル※3に達し、巨大なスポーツビジネスへと成長しています。特に若年層ファンの拡大が顕著で、2022年シーズンには、25歳以下の観戦者数が前年に対し21%増加※4しており、2023年にはF1公式ソーシャルメディアのフォロワー数は7,000万人超※5となり、2018年の1,850万人※6から大幅に増加しました。
 北米はHondaにとっての主要市場であり、F1の活動はHondaのブランド力向上に大きな貢献ができると考えています。

 さらに、世界的な人気の高まりに伴い、BtoBビジネスの側面でも、多様なパートナーが増えており、IT、金融、ファッションなど、さまざまな業界から注目が集まっています。

  

  

  

F1活動によるブランド力向上

日本の状況・今後の可能性

  

 こうした海外でのF1の注目度の高まりもあり、F1日本グランプリの海外からの来場者は、2019年では全来場者の9%にあたる1万500人でしたが、2024年は22%にあたる5万人となりました。海外からの来場者も含め、2024年の日本グランプリの全来場者数は22万9千人となり、観客動員は着実に増えています。しかしながら、F1シリーズ全体のグランプリ来場者の平均年齢が37歳であることに対し、国内来場者の平均年齢は48歳となっており、日本グランプリの来場者は1980年代後半から1990年代初頭のF1ブームを体験した世代の方が中心となっています。また、グローバルではさまざまな業界からF1に関わる企業が増えていますが、日本企業が関わる事例は限りなく少ない状況です。
 しかし、このような状況は多くの可能性を含んでいるとも言えます。約30年前のF1ブームの時代とは、個人の価値観や社会環境も大きく変わっており、世界最高峰のエンターテインメントに成長したF1は、新たなファンを惹きつけることができるのではないかと考えています。また、日本企業が経営戦略として、世界的なマーケティングやホスピタリティー、ビジネスマッチングを目的に、F1日本グランプリを活用することも可能です。
 Hondaのホームである日本の鈴鹿サーキットが、将来にわたってF1グランプリを継続して開催していくために、Hondaグループとして、レースファンの方、これからファンになる方、さらには一緒に日本でのF1を盛り上げてくださる企業の皆さんと、F1の魅力や価値を最大化させ、次世代につながる取り組みを加速させていきたいと考えています。

  

  

日本のF1ファン拡大・F1ビジネス拡大に向けた取り組み

F1日本グランプリ:F1とのタッチポイント拡大とビジネスカンファレンスの開催

 F1日本グランプリは、鈴鹿サーキットでは1987年に初めて開催されました。これまでの累計観客動員は880万人に上り、4月6日に決勝を迎える今年で35回目の開催となります。

  

  

 サーキット来場者に留まらず、より多くの方にF1と関わりをもっていただけるよう、BtoCの観点でF1とのタッチポイントを増やす取り組みを進めています。2024年11月には、歌舞伎俳優の市川團十郎さんを日本グランプリ公式アンバサダーにお迎えし、東京・歌舞伎座で、F1ラスベガスグランプリのパブリックビューイングイベントとF1マシン展示を行いました。2025年4月のF1日本グランプリでは、市川團十郎さん、市川新之助さん親子に決勝レース時のオープニングセレモニーで歌舞伎舞踊を披露していただく予定です。

 またBtoBの観点においては、鈴鹿サーキット・F1日本グランプリのカーボンニュートラル実現のために、太陽光オンサイト型PPAによる再生可能エネルギーの導入や、脱使い捨てプラスチックの取り組みなど、サステナビリティー分野で他社との協業を行っています。この取り組みをさらに加速させるため、HMLはF1日本グランプリ期間中の4月4日(金)に鈴鹿サーキットにおいて、日本国内企業向けに初めて「F1日本グランプリビジネスカンファレンス」を開催します。ビジネス視点での魅力や活用事例を紹介することで、F1日本グランプリをビジネスフィールドとして捉えていただく働きかけを行っていきます。

  

  

F1 TOKYO FAN FESTIVALとF1ショーランの開催

 BtoCのタッチポイントをさらに増やす取り組みとして、HondaとHMLは、F1日本グランプリ公式プロモーションイベント「F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2025」を、2025年4月2日(水)と4月4日(金)から6日(日)の4日間、東京BAY(お台場・青海)で開催します。F1日本グランプリのパブリックビューイングに加え、F1マシン展示、体験型のF1イベント、音楽ライブ、F1開催国の料理など、レースファンだけに留まらず、レースを観たことのない方も、ご家族連れもみんなで楽しめるコンテンツを数多く用意しています。
 また4月2日(水)には、国際トップモータースポーツ体験事業実⾏委員会が主催し、Hondaとレッドブル・ジャパン株式会社がサポートするF1マシンによるショーラン(デモ走行)イベント「Red Bull Showrun x Powered by Honda」が開催され、東京 お台場をOracle Red Bull RacingとHondaのF1マシンが駆け抜けます。

  

 F1日本グランプリ来場者に満足いただくことに加え、鈴鹿サーキットに来場いただくことが難しい方、F1に興味を持ち始めたばかりの方にもF1を楽しんでいただける場をHondaグループ一体となって作り上げていきます。

  

  

メモラビリア事業の検討

 Hondaは、歴史的なレーシングマシンを展示する施設として、栃木県のモビリティリゾートもてぎにあるホンダ・コレクション・ホールと、鈴鹿サーキットにあるHonda RACING Galleryを運営しています。両施設ではマシンを走行可能な状態で維持する動態保存を行っています。Hondaでは動態保存のために、過去のF1マシンについて複数のスペアエンジンや部品を所蔵しており、これらのエンジンや部品のうち、動態保存に影響のないものを販売する、メモラビリア事業を検討中です。
 一例として、1990年にアイルトン・セナがドライブしたMcLaren Honda MP4/5Bに搭載したV10エンジン「RA100E」に、実際にセナが使用したというHRCの証明書を付けて販売する予定です。詳細は4月初旬、F1日本グランプリに合わせて発表を予定しています。F1を心から愛するファンの皆さんに、HondaのF1への挑戦の歴史の一部を、お手元に所有していただける、価値ある事業にしていきたいと考えています。

  


McLaren Honda MP4/5B

MP4/5Bに搭載されたV10エンジンRA100E

  

  

※1 Fédération Internationale de l'Automobile(国際自動車連盟)の略称

※2 出典:2024 Season highlights, Global Summit, Formula 1/ Liberty Media Corporation Reports Fourth Quarter and Year End 2023 Financial Results

※3 出典:Liberty Media Corporation Reports Fourth Quarter and Year End 2023 Financial Results

※4 出典:2024 Season highlights, Global Summit, Formula 1

※5 出典:Liberty Media Corporation Reports Fourth Quarter and Year End 2023 Financial Results

※6 出典:Liberty Media Corporation Reports Fourth Quarter and Year End 2018 Financial Results

  

  

  

  

  

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