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舶用ディーゼル主機の複合低環境負荷システムを開発 大型自動車運搬船での実船試験の実施が決定【川崎重工業】

2014年2月12日


川崎重工は、舶用ディーゼル主機関から排出される大気汚染物質(CO2、NOx)を複数の環境対応技術で効果的に削減するシステム「K-ECOS(Kawasaki–ECO System)」を世界に先駆けて開発し、川崎汽船㈱およびジャパンマリンユナイテッド㈱と共同で実船試験を実施することを決定しました。

国際航海に従事する船舶からのNOx排出量は、国際海事機構(IMO)により早ければ2016年から3次排出量規制が実施されることになり、舶用ディーゼル機関からのNOx排出量は指定規制海域において1次規制値から80%削減することが義務づけられます。
当社は、現行の2次規制(1次規制値比15.5%削減)に対応する複合低環境負荷制御システム「K-ECOS T2」と3次規制に対応する「K-ECOS T3」を開発しました。「K-ECOS T2」は、過給機カットと水エマルジョン燃料※1を組み合わせる技術で、過給機カット運転によるディーゼル主機効率の向上により、CO2排出量と燃料消費量を大幅に削減します。また、水エマルジョン燃料の適用によりNOx排出量を低減し、2次規制値をクリアします。「K-ECOS T3」は、「K-ECOS T2」に排気再循環(EGR)※2を加えたシステムで、従来の2次規制対応エンジンと同等のCO2排出量および燃料消費量で3次規制における指定海域内のNOx排出レベルを達成します。

実船試験は、川崎汽船が進める次世代環境対応「DRIVE GREEN PROJECT」の一環として、ジャパン マリンユナイテッドで建造する大型自動車運搬船(2015年度末引き渡し予定)の主機に「K-ECOS T3」を搭載し、約2年間にわたり行われます。通常運航において従来の2次規制対応エンジン比(主機単体で同一負荷条件下)4%のCO2削減を達成するとともに、3次規制指定海域を想定した運航時には、従来の2次規制対応エンジンと同等のCO2排出量および燃料消費量でNOx規制値の達成を実証します。本船における本実船試験は、国土交通省の「次世代海洋環境関連技術開発支援事業」および一般財団法人日本海事協会の共同研究テーマに採択されています。当社は実船試験を通じてシステムの性能、耐久性、安全性評価を進め、2016年度中に市場投入する予定です。

当社は、船舶分野における地球環境の保全と改善に貢献するため、今後もさまざまな技術開発に積極的に取り組んでいきます。


※1 : 水エマルジョン燃料:燃料中に細かい水滴が分散して含まれる燃料のこと。水滴が蒸発して周囲の熱を奪うことによりシリンダー内の燃焼温度を下げ、NOxの生成を抑制する効果がある。

※2 : 排ガスの一部をエンジンに還流させることによりシリンダー内の燃焼温度を下げ、NOxの生成を抑制するシステムのこと。





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