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大規模蓄電システム用大容量リチウムイオン電池の生産能力を4倍以上に増強【日立化成】

2013年7月24日

―サイクル用電池の従来生産能力月産5,000セルを2013年3月に12,500セルに増強。
さらに2013年12月に月産22,000セル体制を構築―

日立化成㈱(本社:東京、執行役社長:田中 一行、以下、日立化成)および新神戸電機㈱(本社:東京、取締役社長:小西 真、以下、新神戸電機)は、大規模蓄電システムへの展開が期待される大容量リチウムイオン電池の製造拠点の整備および生産体制の強化を実施します。既に、2013年3月時点で、再生エネルギーの発電量変動抑制向け等に特に需要の拡大が見込まれる産業用大型サイクル用電池「CH75」の月産数量を、従来5,000セル規模から12,500セル規模に増強していますが、2013年12月には月産数量を22,000セル規模に引き上げ、2012年から2013年の2年間で4倍以上に増強します。これにより、再生エネルギー等の市場拡大に伴うお客さまの需要増大に対応できる生産体制が整います。

1. リチウムイオン電池の製造拠点の整備および生産体制の強化について

日立化成グループでは、産業エネルギー事業分野を注力事業の一つと位置づけ、この分野の研究開発、営業、事業体制の強化を進めてきました。
特に、この分野で注目されるリチウムイオン電池については、製品ラインアップとして、サイクル用電池(注1)(製品名:CH75、KL90)およびスタンバイ用電池(注2)(TH100、KL200)を揃え、高い信頼性を有する電池パック(注3)、安全性を維持する制御回路システム、難燃技術(消火性の電解液)(注4)等を組合せ、広範なお客さまニーズに対応した蓄電システム事業を展開してきました。
新神戸電機は、2000年より自動車用途でリチウムイオン電池を事業化し(注5)、2009年から大容量の産業用途に注力、本格的な事業展開を図り、リチウムイオン電池の量産を進めてきました。
2012年度には、約10億円を投入し、需要拡大に向けた製造拠点の整備と生産能力の増強を実施しました。
製造拠点の整備では、サイクル用電池は名張事業所、スタンバイ用電池は彦根事業所に製造拠点を集約することで、今後の需要に合わせた生産数量の引き上げ、増産投資のスピードアップが可能となる効率的な生産体制としました。
また、生産能力については、太陽光・風力発電などの発電量変動抑制や電力系統対策向けに需要増大が期待されるサイクル用リチウムイオン電池の生産能力を、従来の月産5,000セルから、2013年3月末には月産12,500セルに引き上げました。
さらに2013年度は、約12億円を投入し、同製品の生産能力を2013年12月末に月産22,000セルの増産体制を構築する計画です。
なお、本計画は、経済産業省「平成23年度国内立地推進事業費補助金」の交付対象事業対象であり、設備投資額の6分の1の補助金交付を受ける予定です。

2. リチウムイオン電池の市場展開

リチウムイオン電池は、東日本大震災以降の電力需給の不安定化、太陽光発電の全量買い取り制度の開始などにより市場形成が遅れていましたが、2012年度の売上は、2011年度に対し2倍強と大きく伸長しました。2013年度からスタートした日立化成グループ新中期経営計画でも順調に伸びていくものと期待しており、産業エネルギー事業分野の2020年度に向けた事業の柱の一つとして育成していきます。
今後のリチウムイオン電池市場で拡大が期待されるのは、
(1) 再生エネルギー導入に伴う電力需給の変動を抑制する大規模蓄電 システム(周波数変動抑制、アンシラリーサービス(注6)など)
(2) 産業用移動機械の回生エネルギー(港湾クレーン、鉄道、無人搬送車など)
(3) 通信機器、携帯基地局向けおよびデータセンター向けのバックアップ電源、 UPS(無停電電源装置)
などの市場分野です。

なかでも、大規模蓄電池システムは新しい市場分野ですが、日立化成グループは、こうした新しい市場分野へ、リチウムイオン電池など新しい電池の積極的な適用を進め、事業拡大を図っていきます。
天候に左右されやすい風力・太陽光発電などの再生可能エネルギーの大量導入が進むと、電力の安定供給のため、電力系統の電圧変動抑制がますます必要となります。その対策として、基幹系統内に大規模な蓄電システムを設置して、余剰電力の吸収や電圧変動の抑制が可能な蓄電デバイスおよび蓄電システムの導入が期待されています。

注1  サイクル用電池 :
充電と放電を一定のサイクルで繰り返す用途に用いられ、太陽光・風力発電などの変動抑制や電力系統対策の役割を担う蓄電池。

注2  スタンバイ用電池 :
満充電の状態で長期間維持し、非常時、停電時にサーバーや携帯基地局など重要なシステム機器の停止を防止するための電源供給の役割を担うバックアップ電源用の蓄電池。

注3  電池パック :
リチウムイオン電池を制御するセルコントローラー基板とリチウムイオン電池を必要本数組合せて構成したモジュール。

注4  難燃技術 :
リチウムイオン電池の難燃技術は、株式会社NTTファシリティーズと新神戸電機の共同開発成果で、UL94-VO相当の難燃性を有しています。UL94-VOは米Underwriters Laboratories Inc.が定めた、樹脂の難燃性を規定する材料、製品の安全規格で「VOは炎を離した後10秒以内で自己消火性を有する」ことを示します。蓄電池は難燃規格が無いために樹脂の規格を引用して評価しています。

注5 :
自動車用途リチウムイオン電池の設計、 製造は2004年に日立ビークルエナジー㈱に移管しました。

注6  アンシラリーサービス :
アンシラリーサービス(Ancillary Service)とは、発電設備系統連系において、電力品質(周波数、電圧)を維持するためにおこなう周波数制御などの系統運用サービスのことです。アンシラリーサービス機能の一例としては、需要変動によって送電系統の周波数が低下した場合には発電出力を増加させ、上昇した場合には反対に抑制するといった出力調整があります。

ご参考




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