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新しいカーコンセプトの鍵「高集積ホイールハブ駆動」 フォードと共同でeWheel Drive搭載コンセプトカーを発表【シェフラージャパン】

2013年4月23日

ドイツ自動車専門誌「アウト・モトア・ウント・シュポルト」が4月11日に主催したイベントにて、電動ホイールハブ駆動、eWheel Driveを発表しました。今回発表したこの革新的な電気駆動は、フォードとの共同開発で、フォード「フィエスタ」をベースに製作された研究開発車両に搭載されています。この小型車は両側のリヤホイールアーチに設置したシェフラーのeWheel Drive2基で駆動します。駆動や減速、安全走行に必要な高集積ホイールハブ駆動内のコンポーネント(電動モーター、パワーエレクトロニクス、制御装置、ブレーキ、冷却系統)はすべて、ホイールリムに内蔵されています。

これらの装備により、1駆動当り40kW、2×33kWの連続出力という、技術上注目に値する数値データを実現しています。これらの値は、従来の測定値に置き換えると、それぞれ110馬力と90馬力に相当します。また開発の第二段階(ベータ)にある液冷式ホイールハブ駆動では、最大トルク700Nmを発揮しています。2010年にオペル「コルサ」ベースの「シェフラー・ハイブリッド」コンセプトカーで発表された第一世代(アルファ)のホイールハブ駆動と比較して、第二世代(ベータ)のeWheel Driveによる出力は3分の1向上し、トルクも75%以上増大しています。高圧駆動の電圧は360~420Vとなっています。

高集積ホイールハブ駆動の総重量は53キロで、車輪軸受とブレーキを装備した従来のホイールと比べると重量は45キロ増となっています。16リッター仕様のエンベロープ(外囲器)が装着されており、16インチのホイールリムの内側に格納されています。高集積ホイールハブ駆動はまた、従来どおりパワーエレクトロニクスを車内装備している先行のアルファ世代よりも6キロ重くなっています。シェフラーのeMobilityシステム部門ホイールハブ駆動製品グループ責任者のラファエル・フィッシャー博士は次のように述べています。「車両全体として見た場合においては、さらに軽量化を実現したことになります。これは液冷装置に加え、パワーエレクトロニクスや制御装置までもホイールに内蔵できるようになったことにより車内の複雑な配線が省けたためです」

「アウト・モトア・ウント・シュポルト」のイベントの中で、シェフラーCTO(最高技術責任者)のペーター・グッツマーはこの革新的な駆動技術について「このBセグメント車は試作モデルですが、ホイールハブ駆動技術は、その強みを最大限に示すために新しいカーコンセプトに組み込まれました」とコメントしています。さらに「高集積ホイールハブ駆動によって、我々は今や制約なしにシティカーを見直すことができるようになりました。この技術は、新しいカーコンセプトや自動車プラットフォームにとって重要な要素となるでしょう。例えば都市部で使われる電気自動車は今後、多くの人口密集地域において不可欠なものになってくるものと思われますが、ホイールハブ駆動によって、電気自動車は過去に例を見ないほどの省スペース化を実現できるようになります。これらの新しいカーコンセプトでは、車の前進、制動、安全走行に必要なコンポーネントはすべて、ホイールに内蔵されます。したがって自動車プラットフォームは、乗員や荷物のために、またバッテリーやエレクトロニクス、通信システムの配置用に、空間を最大限利用できるようになります。そして、自動車メーカーはこの技術を基盤として活用し、多様な車体デザインを展開できるようになります。クルマづくりの原点は、まさにここにあるのです」

今回は、先日北欧の寒冷地で広範にわたるテストドライブを終えた直後のタイミングでのプレミア発表となります。冬季テストは、包括的な研究開発や調整、テストプログラムの一環であり、ここでのドライビング・ダイナミクスに関するテストも欠かすことのできないものです。フォードのリサーチおよびアドバンスド・エンジニアリング・ヨーロッパのプロジェクトマネージャー、ロジャー・グラーフ(Roger Graaf)氏は以下のように説明しています。「卓越したドライビング・ダイナミクスはフォード車ならではの特性によるものですが、当社の専門技術やこの分野で培ってきた経験も、このプロジェクトでは大いに活かされています。走行試験でこのテスト車両の運転挙動は、標準のベーシックな車と比べてホイールばね上重量が重いにも関わらず、快適性や安全性は実質、同水準であることがはっきりと示されました。」さらに、「フィエスタ」ベースのeWheel Driveは並外れたダイナミクスを示します。ドライビング・ダイナミクスの安定性を調整するほか、2基のホイールハブ駆動によってホイールへのトルク配分を選択的に行うことができる、いわゆるトルクベクタリングが可能になります。

グッツマーは次のように述べています。「このように、高集積ホイールハブ駆動は、無駄のない空間利用を実現するだけでなく、操縦性やドライビング・ダイナミクス、アクティブセーフティにも大きなメリットをもたらします。この技術は、特に単独走行との組み合わせによって、将来に重要な役割を果たすものになるでしょう。それゆえ、電動ホイールハブ駆動には未来の駆動システムの一つとなる可能性があり、またグローバルな視点からも、内燃機関を基とした、昨今急速に電化が進むドライブトレインによる支配が続くと見られる幅広い駆動システムのラインナップにこの技術が加わることは、とても有意義なことです」

シェフラーのeWheel Driveは現在、ドイツ連邦の経済技術省が掲げる研究プロジェクトの一環です。





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