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工業用両面粘着テープに熱伝導性を付与した新製品を開発【DIC】

2012年8月22日

放熱促進によりLED機器などの品質維持・長寿命化に貢献、難燃性にも優れる

DIC㈱(本社 : 東京都中央区、社長執行役員 : 中西義之)は、熱伝導性工業用両面粘着テープ「DAITAC TCP-250NR」を開発し、販売を開始しました。

工業用両面粘着テープ(以下、工業用両面テープ)とは、テレビやスマートフォン、パソコンなどの家電機器やIT製品内の部品接合に使われる両面テープのことです。
軽く圧着するだけで部品を容易に接合できる強粘着性と接着信頼性が特徴で、これら製品や機器の生産効率化に貢献しています。近年、製品や機器の高機能化ならびに薄型化・小型化の進展に伴い、部品の接合方法は、ネジや接着剤による固定から工業用両面テープによる固定へと置き換えが進んでおり、使用量は増大しています(注1)。

このような工業用両面テープに、市場から強く求められる熱伝導性、難燃性という機能を新たに付与したこのたびの新製品は、主に液晶テレビ(ディスプレイのバックライトにLEDを使用したタイプ)やLED照明、パワー半導体や電気自動車など、発熱量の非常に多いパーツを有する製品を対象としています。発熱量の多いパーツの固定に同新製品を用いることにより、本来の接合機能はもとより、放熱を促す機能を加えることで製品の長寿命化など、新たな付加価値を提供するものです。

近年、LEDは、省エネや脱水銀の観点から、照明や液晶ディスプレイのバックライトなどに急速に採用が進んでいますが、品質の維持や長寿命化には、LEDにより発生した熱をいかに逃がすかが重要となります。この観点から、LEDの基板を放熱性の高いアルミ製にするなどの策が講じられていますが、LEDとアルミ製の基板の接合に同新製品を用いることで、接合という本来の機能に加えて放熱を促進することが可能になります。

とくに同新製品は、業界初となる特殊難燃性フィルムをテープの基材として用いたことにより、高い熱伝導性による放熱機能と難燃性を高水準で両立することに成功しました。これにより、LED基板を強固に固定しつつ、テープの貼付部分全体での放熱が可能となり、温度上昇を抑える効果が 出ることから、熱によるLEDの劣化を抑制し、長寿命化に貢献します。また、優れた難燃性を有しているため、電子回路周辺でも安全に使用することができます。さらに、寸法安定性に優れた基材入りのテープであることから、細長い形状への加工適性や、LEDアルミ基板への貼り付け作業性に優れるなどのメリットもあります(注2)。

放熱材料のグローバルな市場規模は、2015年度には2,700億円程度になることが見込まれますが(当社推定)、放熱機能を有する工業用両面テープについては、LED照明やEV自動車、太陽光発電の普及に伴う放熱要求の多様化、高度化などを背景に、年率7%の高い成長が見込まれています(当社推定)。当社では、このような需要の増大に応える同新製品の開発により、2015年度に10億円の売上高を目標としています。


(注1)工業用両面テープの需要増大の背景としては、ネジや接着剤による部品接合に比べ、接着剤の厚みの均一化が図れることや、デザインの自由度が向上すること、ならびに製品の高機能化による部品数の増大に対して、接合作業がより容易に行えることが挙げられる。

(注2)工業用粘着テープには、粘着層を支えるために基材を用いるタイプ(基材タイプ)と、用いないタイプ(基材レスタイプ)が流通している。基材タイプは、カットする際にテープ寸法が安定していることが長所として挙げられ、精密部品の接合に適している。


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