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超高速パルス波形制御対応のファイバレーザを開発【古河電気工業】

2020年10月22日

超高速パルス波形制御対応のファイバレーザを開発
〜高速・低熱影響な切断技術で、リチウムイオン電池の製造工程の生産性向上に貢献〜

・最大250kHzのパルス波形制御が可能な超高速変調対応レーザを開発
・超高速変調対応レーザを用いて、金属箔の高速・低熱影響切断を実現
・リチウムイオン電池(LiB)の製造工程に適用することで、生産性向上と省人化に貢献

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一)は、最大250kHzのパルス波形制御が可能な超高速変調対応ファイバレーザ「FEC1000S-7-SP」を開発しました。本製品により、リチウムイオン電池(LiB)の電極に使用される金属箔の高速・低熱影響な切断が可能となり、LiB製造工程の生産性向上や省人化を図ることができます。本レーザは2020年11月中旬から受注を開始します。

背景

近年、CO2排出量の少ない電動車(xEV)の普及が世界中で進んでいます。xEVの主要部品であるLiBの需要も増加しており、高い生産性と製造工程の省人化への要求も高まっております。 レーザを用いた加工は高精度・高速・非接触であるといった特徴から、既存工法では困難な加工を実現することができ、LiBの製造工程への導入も検討されていました。一方で、LiB電極である銅箔・アルミ箔の切断に適用する場合、その反射率の高さから高パワー密度のレーザが必要となり、従来の連続発振レーザでは過剰入熱による切断面の溶融物や表面の熱影響部が発生しやすく、加工品質の確保が非常に困難でした。また、レーザ加工による入熱を減少させる方法として連続発振レーザをパルス波形制御する技術がありますが、従来のレーザのパルス波形制御は50kHz以下の繰り返し周波数が限界であり、高速で加工する際にパルスが重ならず、連続して加工ができないという課題がありました。

内容

当社では、かねてから「ビームモード制御」(注1)や「Blue-IRハイブリッドレーザ」(注2)などの固有技術を用いて、LiBの製造工程に適用可能なレーザ加工ソリューションの開発を進めており、その一環として金属箔の切断工程に有効な超高速変調対応ファイバレーザFEC1000S-7-SPを開発しました。本製品は、応答性が良くパルス立ち上がり時間が数μsecと短いため、最大250kHzの繰り返し周波数で変調が可能です。この特徴から、金属箔の切断において高速・低熱影響を両立した加工を実現します。

「ビームモード制御」、「Blue-IRハイブリッドレーザ」、「超高速変調対応ファイバレーザ」の3つのレーザ加工ソリューションにより、LiBの製造工程における適用を拡大していきます。

製品概要

負極集電体(t=8μm)と正極(t=100μm)の切断結果

古河電池株式会社製のリチウムイオン用正極箔・負極箔に対してレーザ加工を行いました。従来ファイバレーザで加工した結果と比較して、熱影響部が減少しています。

  

  

用語解説

(注 1) 「ビームモード制御」
    ビームモード変換素子を用いてビーム形状を制御する技術です。レーザ照射部の溶融池を
    安定化させることで、溶融金属の飛散や内部欠陥の防止などレーザ溶接の高品質化を実現しました。
    この技術は当社シングルモードレーザ・マルチモードレーザの両方に適用可能なため、薄箔から厚板まで
    広い範囲の加工に応用することができます。
   <関連ニュースリリース>
    純銅のレーザ溶接技術を世界トップレベルで実現
   リチウムイオン電池用銅箔50枚のレーザ溶接に成功
   自動車用アルミニウム材料の高品質溶接を実現

(注 2) 「Blue-IRハイブリッドレーザ」
    銅への吸収性が良い青色レーザ(波長465nm)と深い溶け込みが得られる近赤外レーザ(波長1070nm)を
    組み合わせたレーザです。青色レーザの光吸収特性により安定した入熱制御が可能になり、高速・高品質を
    両立した銅の溶接を可能にします。
    <関連ニュースリリース>
    自動車の電動化に向け、新しいレーザ溶接ソリューションを開発

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」を基本理念に掲げて、4つのコア技術(メタル・ポリマー・フォトニクス・高周波)を軸に、事業活動をしています。さらに、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、当社グループの事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定し、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。

 

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