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車載アプリケーションにおけるLINの役割:24Vバッテリ・システムの過電流保護【日本テキサス・インスツルメンツ】

2018年3月16日

自動車に搭載されるICの数は年々増え続け、ライトやヒーター、センサなどを制御するために様々なモジュールに組み込まれるようになっています。より多くの機能や電子制御を備える、新しい枠組みの自動車設計において、安全性は十分に確保されているか、自動車環境によく見られる過電流にICは耐えられるか、といった課題が生じています。

例えば、3.3V電源を必要とするマイコンに12V電源を使用すれば、そのデバイスは正常に動作せず、故障が起こる危険があります。同様に、電圧がICの仕様をはるかに上回る、あるいは下回る可能性がある自動車環境にも当てはまります。過電流は、商用トラックやフォークリフト、大型輸送車両などで使用される24Vバッテリ・システムにおいてはより深刻な問題となります。

世界中のほぼ全ての自動車ではLIN(Local Interconnect Network)プロトコルが使用されています。LINを使用するモジュールはダイオードを介して直接、カーバッテリに接続しており、これはLINバス全般でデータを受送信しているLINトランシーバが常に過電流を起こしていることを意味します。車内の異なるモジュールが効率的に通信するためには、過電流から十分に保護されたLINトランシーバを使用することが極めて重要です。図1は、自動車環境における最も一般的な過電流を示しています。

図1:自動車環境における過電流

最も危険な過電流の事象は、オルタネータとバッテリの接続が切れる負荷遮断です。オルタネータ(電源)は、充電電流(負荷)をバッテリに供給します。オルタネータ内のインダクタンスが大きいことと、短時間にバッテリとシステムの接続が切れることで負荷電流が劇的に変化することで、オルタネータに接続する残りの全てのノードで大規模な電圧ノイズが生じます(V = L*di/dot)。この電圧ノイズは、図1に示されるように25Vから120Vの範囲で推移します。これは比較的短い過電流(ミリ秒)ですが、中には数分間、過電流が継続するケースもあります。

バッテリの上がったクルマに別のバッテリを接続してエンジンをかける、「ジャンプ・スタート」を例に挙げましょう。ジャンプ・スタートは、車内のICと電子機器に悪影響を及ぼす可能性があります。電圧レギュレータは、12Vバッテリを搭載する自動車(商用車では24Vバッテリ)の電圧を上げ下げするように設計されています。ロードサービス車両は一般的に、ジャンプ・スタートする際に24Vバッテリ(商用車では48Vバッテリ)を使用しており、これはバッテリの上がった自動車に通常の2倍の電圧が流れることを意味します。ジャンプ・スタートが完了するまで、車内の電子機器は最大5分間、この過電流に晒される可能性があるのです。

TIの新しいTLINファミリ(LINトランシーバ)は、12V自家用車と24V以上の商用車の両方にロバスト性能を提供します。TLINファミリを使用することで、システム・バッテリにICを直接接続し、車内の全てのモジュール間で通信することができます。過電流(負荷遮断)に耐えられるように設計されており、LINバスの速度と信頼性を高めながら(逆バッテリの際の)DC故障を保護するといった、ジャンプ・スタート向けの幅広い用途に対応します。24Vアプリケーション性能について詳しく知りたい方は、『TLIN2029-Q1』を参照ください。

参考ブログ:
「末端機器への「ラストワンマイル」を接続するローカル・インターコネクト・ネットワーク」
「車載アプリケーションにおけるLINの役割:車内360°ツアーで体験」
※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。 ※上記の記事はこちらのBlog記事(2018年2月28日)より翻訳転載されました。
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