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Nano Balance Technology の進化について【東洋ゴム】

2018年3月12日

トラック・バス用タイヤの飛躍的な低燃費化を可能に
Nano Balance Technology の進化について

 東洋ゴム工業株式会社(本社:兵庫県伊丹市、社長:清水隆史)は、社会の要請に応える高性能タイヤ 開発をめざして、2011 年に確立した独自のゴム材料開発基盤技術「Nano Balance Technology(ナノバラ ンステクノロジー)」の継続的な技術革新を続けています。
 今回、当社はトラック・バス用タイヤの原料として用いるゴム材料において、Nano Balance Technology の体系の一つである「ナノ加工」の側面から、高い耐摩耗性能を維持しながら大幅な低燃費化を実現する 新たな開発プロセスを確立しましたのでお知らせいたします。

■Nano Balance Technologyについて
 Nano Balance Technology は、「分析/解析/素材設計/加工」という 4 つの体系を横断的に統合し、 ゴム材料をナノ(分子)レベルで観察、予測、機能創造、精密制御することによって、理想的なゴム材料開 発を実現していく基盤技術です。
  当社は、これを駆使し、タイヤの転がりよさ(低燃費性能)と制動性(ウェットグリップ性能)といった二律背 反する性能を高次元で両立した乗用車用低燃費タイヤ「NANOENERGY(ナノエナジー)」を上市したほか、 当社フラッグシップブランド「PROXES(プロクセス)」にも採用し、より付加価値の高い商品群を提供してい ます。また、トラック・バス用タイヤにおいても同様に、Nano Balance Technology の素材設計技術による 発熱性の優れた低燃費トレッド配合を採用した商品群の市場投入を行なっています。

■社会的要請に応える「高性能トラック・バス用タイヤ」をめざして
 昨今、社会的インフラともいえる運輸機関においては、環境規制への対応、運輸効率性の向上といった 課題に対処が求められており、こうした運送車両に使用されるトラック・バス用タイヤの耐摩耗性能の充足と低燃費性能をさらに向上させることが、その解決の糸口の一つとして期待されています。
 現在のトラック・バス用タイヤのさらなる低燃費化を進めるうえでは、課題となる低エネルギーロス/高耐 摩耗というゴム特性の両立を図るために、「フィラー(補強性充填剤)をゴム中でいかに高分散させるか」が 鍵となります。このことを踏まえ、製造プロセスにおける改良改善を全方位的に検討してきました。

■高度なフィラー分散体を実現する新たなナノ加工技術の確立
当社では、透過型電子顕微鏡や SPring-8 を活用し、タイヤに用いるゴム中のフィラー分散性を分析して います。トラック・バス用タイヤの主原料として用いる天然ゴムにおいては、ミキサーによってコンパウンドを 作製(固形ゴムとフィラーを混合)しても、フィラーが均一に分散しきらず、凝集塊として残存することを「ナノ 分析」から確認しました。この状態に動的変形が加わると、フィラーの接触などによってエネルギーロスが 発生し、燃費性に影響を及ぼす要因となります。
 当社は今回、コンパウンド中のフィラーを現状よりさらに高度に分散させるため、『コンパウンド作製前に 固形ゴム中のフィラー構造を最適化する』という新たな「ナノ加工」技術のアプローチによってその加工プロ セスを開発、確立しました。これにより、天然ゴムのような固形ゴムにおいても、フィラーの凝集塊は飛躍的 に低減し、均一かつ高度に分散された理想的なフィラーの状態を確保することが可能となります。
 新たに開発したナノ加工技術は、コンパウンド作製の 前工程として、カーボンブラックを特殊な液中で解砕し ながらナノレベルに分散させ、同時に天然ゴムラテック スと撹拌、共凝固させるというものです。さらに、目的で ある「ナノレベルでの高度なフィラー分散体の形成」を実 現できるよう、このプロセスの最適化を図りました。

■ゴムのエネルギーロスを従来比約 20%低減、本年末にマレーシアで実用化
当社は、素材の加工技術に焦点を当てて改良検討を重ね、このたび、天然ゴムを使用したコンパウンド において、耐摩耗性能を維持しながら、従来に比べてエネルギーロス(tanδ ※1)を約 20%抑制できるゴム配合技術に成功しました。

※1)tanδ:ゴムのような粘弾性体に正弦波を与えた時の損失弾性率を貯蔵弾性率で除した値

これらの進化した Nano Balance Technology は、 当社マレーシアタイヤ工場敷地内に研究開発設備 棟を設置してすでに研究開発および実証を完了しており、今夏、これを生産化ラインとして整備し、年内を めどに新しいトラック・バス用タイヤの開発と生産に 向けて実用化していく予定です。








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