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カーボンニュートラルな車:合成燃料がCO₂を原料に【ボッシュ】

2017年8月22日

カーボンニュートラルな車:合成燃料がCO₂を原料に
CO₂排出量の削減に向けて大きな可能性、ボッシュが調査報告書


地球温暖化対策の目標達成には、eモビリティ以外のソリューションも必要
ボッシュCEOのデナー:「内燃機関はカーボンニュートラルなパワートレインになりえます」
合成燃料は従来の燃料に加えて使用可能で、既存の車両群のCO₂排出量削減に直接貢献
合成燃料を計画的に乗用車に使用すると、欧州だけで2050年までにCO₂排出量を28億トンほど削減可能

ゲルリンゲン(ドイツ) – カーボンニュートラルな内燃機関は、つい最近まで「夢のまた夢」でした。しかし、それが現実化するのも、遠い先のことではなさそうです。その秘密は合成燃料、つまりカーボンニュートラルな燃料にあります。合成燃料は製造過程でCO₂を取り込みます。そうすることで、温室効果ガスを原料とし、再生可能エネルギーにより作られた電力を使いそれを合成ガソリン、ディーゼル燃料、代替天然ガスに転換できます。「合成燃料はガソリン車とディーゼル車をカーボンニュートラルにし、地球温暖化の歯止めに大きく貢献します」。ボッシュ取締役会会長のフォルクマル・デナーはこのように述べています。ボッシュのエキスパートは、この方法で実現しうるCO₂排出削減効果を具体的な数字で示しています。それによると、車両の電動化を補完する形で合成燃料を計画的に使用することで、2050年までに欧州だけで28億トン、すなわち2兆8千億kg1のCO₂排出を削減できる見込みです。これは2016年のドイツのCO₂排出量の3倍に相当します。

燃焼時の煤(すす)発生を減らし、排出ガス後処理コストを削減
欧州の境界を越えて世界各地を見渡すと、交通由来の排出ガス削減の緊急性が見て取れます。パリ協定の目標を達成しようとするなら、交通に由来するCO₂排出量を向こう40年間に全世界で50%、先進国では少なくとも85%削減する必要があります。2 「未来の地球温暖化対策目標を達成するには、eモビリティだけでなく、それ以外にもインテリジェントなソリューションが必要です」とデナーは指摘しています。なぜなら、いつの日にか、すべての乗用車が電気で走るようになったとしても、航空機や船舶、それにトラックも、主に燃料油に頼らざるを得ないからです。従って、合成燃料で動くカーボンニュートラルな内燃機関は、乗用車を含む交通機関にとって非常に有望なことが分かります。さらに、合成燃料なら、燃焼時の煤(すす)の発生を事実上ゼロに抑えることができます。それにより、排出ガス後処理コストを削減できます。

合成燃料には、このほかにも重要な利点があります。それは既存の燃料供給インフラを継続利用できることです。これまでに蓄積された内燃機関に関するノウハウについても、同じことが言えます。さらに、電気自動車の価格は何年か先には今よりはるかに安くなっているでしょうが、それでも合成燃料には開発に取り組むだけの価値があります。ボッシュの計算では、車両寿命を走行距離にして16万kmまでは、合成燃料を使用するハイブリッド車を所有するトータルコストは、使用する再生可能エネルギーの種類にもよりますが、航続距離の長い電気自動車よりも少ないという結果が出ています。

既存の給油ステーションと車両の活用
技術的な可能性ということでは、合成燃料は今すぐにでも製造できます。その過程で再生可能エネルギー(すなわち、 CO₂フリー)からつくった電力を使用すると、合成燃料はカーボンニュートラルとなり、多面的に利用できます。初期行程で得られる水素(H2)は燃料電池に使え、最終的に自動車の内燃機関や航空機タービンを動かす合成燃料が得られます。ノルウェーとドイツで現在、ディーゼル燃料、ガソリン、そしてガスの実用化に向けて、パイロットプロジェクトが進行中です。合成燃料はまた、既存のインフラ、およびエンジンを活用できるため、車両の電動化に比べ、市場への浸透に要する時間がはるかに短いと考えられます。さらに合成ガソリンは化学構造にしても、基本的特性にしてもガソリンと同じですから、運転者にとってはこれまでと何の違いもありません。古い車,すなわちクラシックカーでさえも、合成ガソリンで走らせることができます。

Q&A – 合成燃料に関するあれこれ

合成燃料が市場に定着するまでにクリアすべき課題は?
合成燃料を市場に定着させるには、未だ少なからぬ労力が必要です。製造設備は依然高価ですし、テストプラントの数もわずかです。そこでドイツ経済エネルギー省は、「交通用代替エネルギー」イニシアチブの一環として合成燃料プロジェクトを支援しています。また再生可能エネルギー電力の供給が増え、価格が下がれば、代替燃料の普及促進の追い風となるでしょう。

合成燃料はどのようにして製造するのですか?
合成燃料は再生可能エネルギーだけを利用してつくります。第一段階で水から水素をを取り出します。それに炭素を反応させて、液体燃料にします。炭素の入手方法としては、産業プロセスからのリサイクルのほか、フィルターを使って大気から抽出することも考えられています。CO₂とH2の結合により、合成燃料となり、ガソリン、ディーゼル燃料、ガス、ケロシンなどが得られます。

合成燃料のコストはどのくらいなのですか?
現時点では、合成燃料をつくるには複雑で高価なプロセスが必要です。しかし生産量が増え、電力コストが下がれば、合成燃料の値段は大幅に下がるはずです。最新の調査報告書では、合成燃料のコスト(物品税を除く)は長期的に見て1リットルあたり1.00~1.40ユーロの範囲に落ち着くと見られています。

合成燃料とバイオ燃料との違いは?
合成燃料では、バイオ燃料と違って、農産物を燃料に加工するか、食用にするかのジレンマがありません。さらに、再生可能エネルギーを使用する限り、合成燃料はいくらでも限りなく生産できます。利用可能な農地面積などの要因が足かせとなるバイオ燃料との大きな違いです。


IAA 2017でボッシュ製品をご体験いただけます(開催地はフランクフルト):ボッシュは未来のモビリティについて、事故ゼロ、エミッションゼロ、ストレスゼロの姿を思い描いています。ボッシュはこの事故ゼロ、エミッションゼロ、ストレスゼロという目標を自動化、電動化とネットワーク化を通じて達成したいと考えています。ボッシュはIAA 2017において、運転をより安全・効率的にし、クルマを第3の生活空間にする最新のソリューションを3つのテーマに沿った形でご紹介します。

ボッシュ役員の記者会見:2017年9月12日(火)13:15~13:40(現地時間)、ボッシュ取締役会会長のフォルクマル・デナーモビリティ ソリューション セクター統括部門長のロルフ・ブーランダーが出席予定、ボッシュのブース:第8ホールのA03

IAA 2017におけるボッシュのハイライトをwww.bosch-iaa.deとTwitterで紹介:#BoschIAA

1.Roadmap zum defossilisierten Antrieb; Dipl.-Ing. Ulrich Schlumeister, Dipl.-Ing. Steffen Eppler: VDA – Technischer Kongress 2017
2.https://ec.europa.eu/clima/citizens/eu_en


このプレスリリースは2017年08月22日に Robert Bosch GmbH より発行されました。
原文をご覧ください。


世界のボッシュ・グループ概要
モビリティ ソリューションズは、ボッシュ・グループ最大の事業セクターです。2016年の売上高は439億ユーロで、総売上高の60%を占めています。モビリティ ソリューションズの売上により、ボッシュ・グループはリーディングサプライヤーの地位を確立しています。モビリティ ソリューションズは、自動化、電動化、ネットワーク化の3つの領域においてグループの専門知識を統合させ、お客様にトータルソリューションを提供します。その事業領域は主に、内燃機関の燃料噴射テクノロジー/パワートレインコンポーネント、パワートレイン電動化のさまざまなソリューション、車両安全システム、ドライバー アシスタンス システム/自動化機能、ユーザーフレンドリーなインフォテインメントやVehicle-to-Vehicle(車車間)およびVehicle-to-Infrastructure(路車間)通信、オートモーティブ アフターマーケット向けのリペアショップコンセプト/テクノロジー/サービスなどです。さらにボッシュは、電子制御エンジンマネジメントや横滑り防止装置ESC(エレクトロニック スタビリティ コントロール)、ディーゼル用コモンテールシステムなどの自動車の重要な革新技術を生み出してきました。

ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーです。2016年の従業員数は約39万人(2016年12月31日現在)、売上高は731億ユーロを計上しています。現在、事業はモビリティ ソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・建築関連テクノロジーの4事業セクター体制で運営しています。ボッシュはIoTテクノロジーのリーディングカンパニーとして、スマートホーム、スマートシティ、コネクテッドモビリティ、さらにコネクテッドマニュファクチャリングに関する革新的なソリューションを提供しています。ボッシュはセンサー技術、ソフトウェア、サービスに関する豊富な専門知識と「Bosch IoT cloud」を活かし、さまざまな分野にまたがるネットワークソリューションをワンストップでお客様に提供することができます。ボッシュ・グループはコネクテッドライフに向けたイノベーションの提供を戦略的な目標に定め、革新的で人々を魅了する全製品とサービスを通じて生活の質の向上に貢献します。つまり、ボッシュはコーポレートスローガンである「Invented for life」-人と社会に役立つ革新のテクノロジーを生み出していきます。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社440社、世界約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売/サービスパートナーを含むグローバルな製造・エンジニアリング・販売ネットワークは世界中のほぼすべての国々を網羅しています。ボッシュの未来の成長のための基盤は技術革新力であり、世界120の拠点で約5万9,000人の従業員が研究開発に携わっています。

ボッシュの起源は、1886年にロバート・ボッシュ(1861~1942年)がシュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの企業としての自立性を保証するものであり、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができます。ロバート・ボッシュGmbHの株式資本の92%は慈善団体であるロバート・ボッシュ財団が保有しています。議決権の大半はロバート・ボッシュ工業信託合資会社が保有し、株主の事業機能を担っており、残りの株式は創業家であるボッシュ家とロバート・ボッシュGmbHが保有しています。

さらに詳しい情報は 以下を参照してください。
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www.bosch-press.com ボッシュ・メディア・サービス(英語)
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