ニュース

銅フリー摩擦材のフォード・モーター「フュージョン」での採用について【日立化成】

2017年7月24日

日立化成㈱(本社:東京都千代田区、執行役社長:丸山 寿、以下、日立化成)は、銅の含有量を0.5%未満に抑えた「銅フリー摩擦材」*1について、Ford Motor Company(本社:米国ミシガン州、以下、フォード・モーター)のセダン「Fusion(以下、フュージョン)」*2での採用が決定したことをお知らせいたします。

自動車や二輪車のブレーキの部品である摩擦材は、使用時の摩擦により非常に微量の銅を含む摩耗粉が発生します。摩耗粉中の銅が大気中に飛散し、雨水によって河川や湖へ流出すると、水質汚染の一因になるとして、米国環境保護庁は、摩擦材における銅の含有量を制限する規制を発表しています。これにより、2021年から銅含有量5%以上の製品、2025年からは0.5%以上の製品の米国内での販売および新車への組み付けが禁止される予定です。今後、欧州地域においても同様の規制が進む可能性があり、従来の主要材料の一つであった銅の含有量を抑えた摩擦材のニーズが高まっています。

そこで日立化成は、NAO(Non Asbestos Organic)材*3をベースとし、フェノール樹脂、有機繊維など複数の素材を組み合わせることにより、銅含有量を0.5%未満に抑えた「銅フリー摩擦材」を2015年に開発しました。「銅フリー摩擦材」では、ブレーキを繰り返しかけることで、摩擦材が高温になった時に発生する摩耗粉の銅含有量が低減しています。また、降雨・降雪などに伴い路面状態が変わった場合や走行速度が変わった場合の摩擦係数*4の変動幅が小さいことや耐フェード性*5などについては、銅を含有する摩擦材と同等レベルを実現しました。

こうした特徴により、「銅フリー摩擦材」は、ブレーキをかけるタイミングや停止のタイミングを摩擦係数などから計算し、制御する自動ブレーキシステムを装備した車への搭載が可能となりました。さらに、変性樹脂*6や耐熱性の高い無機繊維*7を使用することにより、銅を含有する摩擦材と比較してブレーキをかける時や緩める時に発生する異音などの低減が可能になり、走行音が静かな電気自動車への搭載も期待されます。

日立化成は、日本をはじめ、中国、タイ、メキシコでの摩擦材の生産・供給体制を整えており、今後需要が増える「銅フリー摩擦材」をはじめ、摩擦材事業の一層の強化、シェア拡大をめざします。

*1 車業界では、米国環境保護庁が発表した銅使用規制に対応した、銅含有量を0.5%未満に抑えた摩擦材を銅フリー
  摩擦材という。
*2 2017年5月にグローバルで販売開始した。
*3 NAO(Non Asbestos Organic)材は、スチール繊維・アスベスト(石綿)を含まない材料のこと。
*4 摩擦係数とは、タイヤと路面が接している面の摩擦度合いを表すもので、数字が低いほど摩擦が少なく(滑りやす
  い状態)、数字が高いほど摩擦が大きい(滑りにくい)。
*5 ブレーキを繰り返しかけることで、ブレーキの摩擦材の温度が上昇してブレーキの効きが低下することをフェード
  現象という。同様の環境下でブレーキの効きが低下しにくいことを耐フェード性という。
*6 ここでの変性樹脂は、フェノール樹脂に、柔らかさや撥水性を付与した樹脂のこと。
*7 無機繊維とは、鉱物を原料とした繊維のこと。


銅フリー摩擦材が採用された、フォード・モーターの「フュージョン」








日立化成株式会社ホームページはこちら

キーワードをクリックして関連ニュースを検索

#日立化成
#材料
#2017年7月24日