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ラストマイル自動走行の実証評価(北谷町)を開始【産総研】

2017年6月27日

国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)は、平成29年6月26日に沖縄県中頭郡北谷町(ちゃたんちょう)において「ラストマイル自動走行の実証評価」の出発式を行い、実証評価を開始しました。

産総研は、経済産業省および国土交通省の平成29年度「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業:専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」を幹事機関として受託し、ヤマハ発動機㈱、株式会社日立製作所、慶應義塾大学SFC研究所、豊田通商㈱などと共に、研究開発と実証を進めています。本事業では、平成30年度に研究開発された端末交通システムの社会実装に向けて、実際に端末交通システムが求められている地域の環境で実証評価を行うこととし、自治体や地域団体を公募し、選定地の一つとして沖縄県中頭郡北谷町の協力を得られることになりました。

端末交通システムとは、基幹交通システム(鉄道やバスなど)と自宅や目的地との間、地域内といった短中距離を補完するラストワンマイルモビリティとも呼ばれる次世代の交通システムです。本事業では、公共的な利用を前提とし、専用空間を確立することにより自動走行技術を取り入れた地域の活性化などにつながる新しい交通手段の実現と社会実装を目指しており、導入場所の特徴や事業性などを鑑みて、小型電動カートと小型バスという乗車人数の異なる車両を用いて地域に応じた運行管理システムなどの開発を行っています。

北谷町は、公募の小型電動カート応用・開発の実証評価に選定された地域の一つです。実証環境の特徴から観光地モデルと分類し、観光施設やホテルなどを巡回する町有地の走路において、人などとの共存空間における自動走行を遠隔監視・操作システムを搭載した車両での社会実験となります。現在、自動走行の実証実験は各地で行われていますが、今回の遠隔監視・操作技術と自動走行技術を組み合わせた遠隔型自動走行システムとなる端末交通システムの社会実装に向けた実証実験は全国に先駆けたものとなります。今回の走路は公道ではないため、警察庁が6月に策定した「遠隔型自動運転システムの公道実証実験にかかる道路使用許可の申請に対する取り扱いの基準」の対象外となりますが、今後、安全性の観点などから沖縄県警や地元警察署にもご協力を仰ぎながら、この基準に準拠した形で実証評価を進めることで、他の実証評価地域(永平寺町、輪島市)における公道実証実験に活かしていく予定です。

今回の出発式に合わせて技術実証の実験を開始しました。出発式当日は電磁誘導線などによる自動走行(実証評価の走路の一部となる1 km弱の往復コース上)や、センサーによる自動ブレーキ機能、遠隔監視・操作システムによる遠隔からの緊急停止や発進・停止、障害物への遠隔操作による回避対応など、遠隔型を含む自動走行デモンストレーションを行いました。今後は、10月以降に最適な配車や単路の安全性を確保する管制システムを加えた技術実証・評価を行い、その後、受容性評価などの実証実験を地域の様々な関係者にご協力を仰ぎながら行う計画です。


固定障害物として電磁誘導線の経路上に自転車を置き、遠隔からの操作で回避し、電磁誘導線の自動走行モードに復帰しています。

用語の説明

◆遠隔型自動走行システム
車両内にはドライバーは乗車しないものの、車両外(遠隔)にドライバーに相当する者がいて、その者の監視などに基づく自動走行システム。









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