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データ取得速度5倍、大気中・液中でもナノオーダーの観察が可能な高分解能走査型プローブ顕微鏡「SPM-8100FM」を発売【島津製作所】

2017年6月13日

高分解能走査型プローブ顕微鏡「SPM-8100FM」


島津製作所は、画像データの取得速度を最大5倍に高めるとともに、X軸・Y軸の最大走査範囲をそれぞれ4倍に拡大し、大気中や液中においても真空中と同様に超高分解能な観察を実現する走査型プローブ顕微鏡のフラッグシップモデル「SPM-8100FM」を6月13日に発売します。

走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、先端が半径数ナノメートルの微小なプローブ(探針)を備えるカンチレバーで試料表面を走査し、試料の形状や物性を測定する顕微鏡です。SPMの中でも、「SPM-8100FM」は原子間力顕微鏡(AFM)に分類され、試料表面にプローブが接近した際に働く原子間力を検出することで、試料の表面観察や三次元的な構造計測をナノメートルオーダーで行うことができます。微弱な原子間力の検出には、極めて低ノイズかつ高感度な周波数変調方式(FM方式)を採用しており、超高分解能を実現しています。

本製品は、金属や半導体、有機高分子材料、生体材料などの高分解能観察に加え、固液界面の局所構造も観察可能なため、高分子や触媒、電池、トライボロジー、ライフサイエンスといった多様な研究分野における先端的な基礎研究への貢献が期待できます。


【開発の背景】
最先端のナノテクノロジーの研究では、原子レベルの構造解析や物性の計測が進んでいます。当社が2014年1月に発売した前機種「SPM-8000FM」は、科学技術振興機構(JST)先端計測分析技術・機器開発プログラムの成果を生かして、SPM製品として世界で初めて大気中や液中でも真空中と同様の超高分解能観察を実現しました。一方で、優れた観察性能に対し、データ取得時間の短縮が課題となっていました。

これに対し、当社は「SPM-8000FM」のスキャナを刷新するなど改良を進め、超高分解能な観察と高スループットを両立する「SPM-8100FM」を開発しました。


【新製品の特長】
1.超高分解能と高速・広範囲な観察を両立

高速性に優れる「HTスキャナ」を採用したことで、極めて高い分解能を維持したまま画像データの取得スピードが前機種比で最大5倍に向上したとともに、最大走査範囲がX軸・Y軸それぞれで前機種の4倍となる10μmまで拡大しました。観察視野の探索が容易になり、観察のスループットが向上します。結晶表面の原子・分子配列構造の高分解能観察を始め、高分子材料や生体材料の機能発現に影響を与える局所的な固液界面の構造解析など、当社のAFMが従来から得意とする液中もしくは大気中での観察において、時間の短縮が期待できます。

2.ソフトウェア機能の拡張による操作性向上
プローブを試料表面に接近させるための煩雑な操作を減らすとともに、試料にプローブが衝突する危険性を低減するため、プローブのアプローチ機能を充実させました。さらに、リアルタイムに装置状態をモニターしたい、観察画像を確認しながら効率良くパラメータの設定を行いたいといった要望に応えるため、プローブの動きに対応した信号を表示する機能の追加など、ソフトウェアの機能を拡張してデュアルモニターにも対応させたことで、操作性が大幅に向上しました。前機種は操作の習熟に時間がかかる場合がありましたが、本製品は幅広いユーザーが短期間で使用できることを念頭に置いて開発しています。



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