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第49回市村産業賞貢献賞を受賞【東芝】

2017年3月13日

第49回市村産業賞貢献賞を受賞
-重希土類フリーで高い磁力と優れた減磁耐性をあわせ持つモータ用磁石の開発と実用化-


当社と東芝マテリアル㈱はこのたび、「耐熱モータ用重希土類フリー高エネルギー磁石の開発と実用化」により、第49回(平成28年度)市村産業賞貢献賞を受賞しました。贈呈式は4月26日に行われます。
今回の受賞は、レアアースの中でも特に希少な重希土類を一切使用せず、高い磁力と優れた減磁耐性注1をあわせ持つ高鉄濃度サマリウムコバルト磁石を世界で初めて開発したことと、同製品の量産技術を確立し、鉄道車両の駆動システムへの採用を可能にしたことが高く評価されたものです。

受賞者

㈱東芝 技術統括部 研究開発センター 研究企画部 企画担当 主務   堀内陽介
㈱東芝 技術統括部 研究開発センター 機能材料ラボラトリー 研究主幹 桜田新哉
東芝マテリアル㈱ 材料部品事業 事業推進責任者            岡村正巳

業績概要

地球温暖化防止の観点で今後の需要拡大が見込まれている電気自動車やハイブリッド車、風力発電機には、ジスプロシウムなどの重希土類を添加して耐熱性を高めたネオジム磁石が一般的に使用されています。一方、重希土類には資源の偏在による不安定な供給や価格高騰などのリスクがあるため、重希土類を使用しない高い最大磁気エネルギー積注2(以下、(BH)max)を持つ耐熱型高性能磁石の開発が求められていました。

そこで当社は、耐熱性に優れ、ネオジム磁石に次ぐ高い(BH)maxを持つサマリウムコバルト磁石に着目し(BH)maxの向上に取り組みました。サマリウムコバルト磁石を用いる方法では、鉄濃度を高めると、モータを設計するうえで重要となる保磁力注3が低下する問題がありましたが、当社独自の熱処理による組織制御技術を開発することで、同磁石で世界最高注4の(BH)max である280kJ/m³を室温で実現しました。また、本技術を量産プロセスに適用することにより、265kJ/m3から275kJ/m³級の磁石を量産するための基本プロセスに目処が立ちました。本磁石は、重希土類フリーであるとともに、耐熱モータが使用される温度領域の140℃以上においても、耐熱型ネオジム磁石を上回る(BH)maxと保磁力を持つ世界初注5の磁石です(図1)。

本磁石は鉄道車両の駆動システムに採用され、同磁石を搭載した車両は2015年2月から実用化しています。同磁石は今後、不安定な供給や価格高騰のリスクがある従希土類を使用しないため、ハイブリッド車や電気自動車、風力発電機への採用など適用範囲の拡大も想定されています。(図2)


<市村産業賞>
市村産業賞は、公益財団法人新技術開発財団により主催され、優れた国産技術を開発することにより産業分野の発展に貢献・功績のあった技術開発者またはグループに贈られる権威ある賞です。1969年(昭和44年)に始まり、今回で49回目となります。独創的・画期的で世界的に見て高い水準にあるもの、その技術の実用化で新たな産業分野の創生や市場の拡大に効果が顕著なもの、産業・社会の発展に先導的な役割を果たし波及効果が大きく期待できるものが表彰対象とされています。

(注1)減磁耐性:熱や外部磁界に対抗して磁石が磁束を保とうとする性質のこと。
(注2)最大磁気エネルギー積:磁石が持つエネルギーの大きさのことであり、磁束密度Bと磁界Hの積に比例する。
     このBxHの最大値を最大磁気エネルギー積(BH)maxと呼ぶ。
(注3)保磁力:外部磁界に対抗して磁石が磁束を保とうとする力のこと。
(注4)当社調べ
(注5)当社調べ








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