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ENCOUNTER 01/2017「POWER OF DISTINCTION」【アウディ ジャパン】

2017年3月3日


“EMOTIONALITY IS PASSION”
「エモーショナリティとは、すなわち情熱」

アウディのクリエイティビティの牽引役
Q8 quattro conceptの開発を主導したチーフデザイナーのマーク リヒテ

マーク リヒテがAudi Q8 conceptについて、このクルマのキャラクターをどのようにして形にしたのかを語った。 自動車デザイナーにとって、今はとてもエキサイティングな時代であると彼は言う。

リヒテさん、あなたは2014年にスタディモデルのprologueを発表し、アウディ デザインにおけるひとつの金字塔を打ち立てました。この表現力に溢れるデザイン言語を、Audi Q8 conceptのようなフルサイズSUVに翻訳する上で、どのような課題がありましたか?

リヒテ:2年半前にアウディに来たとき、わたしが最初に行ったことは、スタッフたちと一緒に今後のデザイン戦略を策定することでした。そのなかで、新しいデザイン言語を完成させるだけでなく、モデル間の差異をどのように設定するか検討を進めました。Audi Q8 conceptは、ウエストラインが非常に引き締まった印象を与える一方で、筋肉はこの上なくパワフルな形で強調されています。 これぞquattroであり、これぞ私たちが目指していたもので、クルマをスポーティに見せている要素でもあります。

グリーンハウス全体は非常に低くなっていますが、その理由は?

リヒテ:自動車業界には昔からひとつの鉄則があって、スポーティなSUVは、クーペのような傾斜したルーフラインを持たなければいけないとされてきました。その結果、インテリアの機能性は制限されていたのです。我々はこの鉄則を破って、代わりに、全体として非常にフラットなルーフラインを採用しました。Audi Q8 conceptのルーフラインは、フロントからリヤまで、ほぼ水平につながって、Cピラーのところに急角度で下降しています。これにより、乗員のヘッドルームを制限することなく、きわめてスポーティなサイドシルエットを得ることに成功しています。また、ドアの下の方に深い抉りを入れたことで、視覚的にボディパネルが、より引き締まって軽快感のあるもの になっています。

フロントエンドでは、シングルフレームグリルの新しい解釈を見ることができますね。

リヒテ:八角形のグリルを採用している点で、Audi Q8 conceptは、ほかのアウディモデルと明確に異なっていると思います。今後登場するQモデルはすべて、このタイプのシングルフレームグリルを採用することになるでしょう。新しい顔の効果は絶大です。 これにより、モデルの個性的なキャラクターが強調されることになります。

シングルフレームのマスクは、既存のQモデルよりも目立たない印象ですね。

リヒテ:新しいフレームのデザインにより、ヘッドランプが、視覚的にグリルと一体になっているように感じられます。Audi Q8 conceptの装備については、興味深い点がたくさん見つかると思います。まず、ヘッドライトにはレーザービームを採用しています。このテクノロジーは将来、ブルーXのシグネチャーが特徴となることになるでしょう。このコンセプトカーはまた、ブラグインハイブリッドのドライブシステムを採用していますが、そのことは、フロントとリヤに設置されたe-tronのロゴで示されています。リヤエンドでは、ひとつながりの細いライトにより、クルマの幅広さが強調されていますが、これは今後、アウディのすべてのトップバージョンの識別ポイントになるでしょう。ドアをロックしないままクルマを離れると、ここから特徴的なライトの効果が発せられ、ドライバーに警告することもできます。

それ以外に、エクステリアで、とくに気に入っている部分はどこでしょう?

リヒテ:Q8 conceptには、アウディの過去の系譜を示唆するモチーフが数多く散りばめられています。リヤエンド両側に設置された垂直のエアベントは、1990年代初頭のIMSA GTOレースカーに由来するものです。急な傾斜がついた幅広いCピラーと、ボンネットの下の薄いエアインテークは、ライトの帯の下のベゼルとともに、初代quattroを彷彿とさせます。シングルフレーム同様、ここでは、素材やカラーが、カーボンパーツに至るまで、部分毎に入念に選び分けられています。サイドシルには、光沢仕上げのアルミニウムが使われており、ここ以外にもエクステリアの各部分に使われているアルミのアクセントにより、オフロードモデルならではの荒々しさとプレミアム感を融合した風貌が演出されています。

Audi Q8 conceptに乗り込むと、まったく新しいダッシュボードのアーキテクチャーがみられます。こうしたデザインにした、基本的な狙いはなんでしょう?

リヒテ:私たちはprologueのために、まったく新しい操作系のコンセプトを開発しました。それは、従来のロータースイッチや押しボタンに代えて、タッチスクリーンを導入するというものです。その後それを、生産モデルにも順次導入していきます。最終的には、アウディモデルの1台1台が、コクピットにおいても、独自のキャラクターを表現するようになるでしょう。

このショーモデルのキャラクターとは、どのようなものでしょうか?

リヒテ:Q8 conceptのインテリアには、非常に力強い彫刻的な造形を施しており、水平基調のAudi prologueのものとは、意図的に違いを出しています。今後登場するモデルについて言えば、ディスプレイ類は、ダッシュボードのブラックパネルビジュアルのなかに統合されて、ほとんど見えなくなるでしょう。ディスプレイの周りに、スイッチはほんの少ししかありません。そのため、素材を含めて上質感を醸出していくことが、とても重要でした。ここでは、力強さを表現するものとして、カーボンとつや消し仕上げのアルミを採用し、あえて「テクノイド」風の見た目を演出しています。

リヒテさん、エモーショナリティは、アウディのコアバリューの一つですよね。
自動車デザインのなかで、それをどのように定義していこうとしていますか?

リヒテ:エモーショナリティとは、あるクルマを単純に所有したいという情熱、もしくはモチベーションであると考えています。私たちは、今後もスポーティなクルマを販売し続けたいと思っています。アウディはいま、完全な電気自動車も開発していますが、それらは、今日あるクルマとかなり違ったものになるでしょう。プロポーションも違うものになるでしょうし、新しいインテリアのコンセプトも登場するはずです。このように、現在我々は、パラダイムシフトが進行するきわめて魅力的な時代にいます。とくに自動車デザイナーにとっては、そうだと思います。

アウディの顧客のなかから、こうしたキャラクターを備えた電気自動車に対する熱烈なファンが、すぐに生まれると思いますか?

リヒテ:その点では着実に歩みを進めていこうと考えています。要は、ブランドとしてのコアアイデンティティを維持しつつ、また、内燃エンジンを搭載したクルマが急速に古く見えたりしない方法で、eモビリティへの転換を図っていくことだと思っています。

企業の推進力としてのアウディデザインは、どのような役割を担えるでしょう?

リヒテ:我々デザイナーは、常に未来に生きています。私はいま、2020年代と2030年代を常に行ったり来たりしていて、会社の取締役会メンバーにも、比較的早いタイミングで私たちの考えを提示しています。その点で私たちは、ある程度、企業を牽引するエンジンとしての役割を果たしていると思います。

※本資料は、Audi ENCOUNTER 01/2017 「POWER OF DISTINCTION」の翻訳版です
原本URL:https://audi-illustrated.com/en/Dialoge-Das-Audi-Technologiemagazin-01-2017/Kuer-Royal









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