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高生産性ホットスタンプ用鋼板の量産について【神戸製鋼所】

2017年2月17日

当社は、プレスの生産性に優れたホットスタンプ用冷延鋼板(焼入れ後強度1470MPa級)を開発し、トヨタ自動車㈱・プリウス向けのボディ骨格部品を受注し、順調に量産を行なっています。当社のホットスタンプ用鋼板の受注は初めてとなります。今回当社が開発したホットスタンプ用鋼板は、主に鋼板の成分を工夫することにより焼入れ性※1を大幅に向上させております。そのため、従来のホットスタンプ用鋼板の課題であったプレスの生産性を従来比で2~4倍程度、改善することが可能になりました。加えて、冷却ムラによる強度不足の問題が発生しにくい特長も有しています。このような生産性の高さ、安定した品質をお客様へ訴求し、採用拡大を目指していきます。

近年、自動車メーカーでは、年々厳しくなるCO₂排出規制への対応のため、「車体軽量化」の必要性が高まるとともに、日米欧での衝突安全規制の強化に対応した「車体の強度向上」が課題となっています。これら2つの課題を解決する手段の一つとして、当社は鋼板を高強度化することによる薄肉化を考えています。そして、それを実現する材料として超ハイテン(引張強度780MPa級以上)とホットスタンプ用鋼板があり、自動車部品の強度に応じて使い分けられています。

一般的に、鋼板はある温度以上に加熱された後、急速に冷却(=熱処理)されることで硬い組織に変化し強度が高まります。超ハイテンは製造時に製鉄所内で熱処理をして所定の強度を得ますが、ホットスタンプ用鋼板は、ユーザーで鋼板を加熱後、プレス成形してから金型内で冷却することで強度を高めます。ホットスタンプ用鋼板の特長は、熱間でプレス成形するため良好な加工性と寸法精度を得ることが出来ることに加えて、超ハイテンを使用する場合と比べてより高強度の部品を製造できることであり、近年は欧州に続いて日本でも採用部品数が増えてまいりました。

しかしながら従来のホットスタンプ用鋼板は、熱間プレス後に部品を金型内である一定時間冷却する必要があるため、超ハイテンを冷間でプレスした場合と比べてプレスの生産性が悪化します。また冷却ムラがあった場合、強度不足になり易い等の課題もあります。今回当社が開発したホットスタンプ用鋼板は、焼入れ性の向上により、金型内の冷却時間を大幅に短縮するとともに、冷却ムラも発生しにくい画期的な製品であり、既に特許も取得しております。

当社は今後も、超ハイテン、ホットスタンプ用鋼板やアルミなどの素材の高機能化、および素材をお使いいただくための加工法などのご提案に加え、鉄とアルミの接合を軸としたマルチマテリアル化提案を通じて、自動車メーカーの軽量化ニーズにお応えして参ります。

※1:高温加熱の後冷却することによる鋼板の硬化のし易さのこと。

通過工程

従来のホットスタンプ用鋼板   コイル → ブランキング → 加熱 → プレス → 金型内での長時間冷却
弊社のホットスタンプ用鋼板   コイル → ブランキング → 加熱 → プレス → 形状凍結を目的とした金型内冷却

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