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次世代型パワーモジュール向け焼結型接合材料を開発【三菱マテリアル】

2017年1月11日

三菱マテリアル㈱(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円)は、低温で分解する有機分子でコーティングされた銀粒子(以下「新コーティング銀粒子」)を主成分とする焼結型接合材料(以下「新製品」、図1)を開発し、サンプル出荷を開始しましたので、お知らせいたします。

新製品は、ハイブリッド自動車の高出力モーター電源制御用インバータをはじめとする次世代型パワーモジュール向けに採用が期待されています。高出力モーター電源制御用インバータモジュール等の普及が加速する中、200℃以上の高温環境下でも動作可能なSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)等の高温半導体素子(図2)の採用も進んでおります。これらに伴い、同モジュール等に使用する焼結型接合材料についても2025年には70億円/年を超える市場が見込まれています※1

高温半導体素子の接合には、従来、界面活性剤などでコーティングされた銀粒子を主成分とする焼結型接合材料(以下「従来品」)等が使われていますが、従来品には次の問題点がありました。
1.200℃を超える高温での加熱工程が必要であり、周辺部材への悪影響が懸念される。
2.放熱性や接合信頼性を低下させるボイド※2が少ない接合層を形成するためには、加熱中に高い圧力を加える工程が
   必要。

このたび当社が開発した新製品は、従来品と同等の接合強度(20MPa以上)と耐熱性(200℃以上)を実現することに加え、前述の問題点を解決する、次の各特性を発揮します。
1.新製品は、導電性接着剤並みの加熱条件(150℃以上60分)での焼結が可能であり、さらに加圧工程も不要。従来
   品より、短時間・低温での焼結を実現。
   ※新コーティング銀粒子を覆う保護剤である有機分子が、加熱により二酸化炭素などに分解し、銀粒子間の焼結反
   応を促進。
2.ニーズの高い小型(10mm角以下)の高温半導体素子において、従来品より大幅にボイドが少ない接合層を実現
   (図3)。

新製品は、以上の優位性により、高い耐熱性と信頼性が求められる次世代パワーモジュール向けの焼結型接合材料としての利用の拡大が見込まれるほか、高い熱伝導率を必要とするLEDチップなどの高発熱素子への応用も期待されます。今回の開発については、1月18日から1月20日に東京ビックサイトにて開催される「第46回 インターネプコン ジャパン – エレクトロニクス 製造・実装技術展 -」でも発表する予定です。


当社グループは、長期経営方針に「ユニークな技術により、地球に新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するNo.1 企業集団」となることを掲げており、今後も「複合事業体として特徴のあるシナジーの創出=マテリアル・プレミアム」を実現していくことで、社会のニーズに応える製品の開発、製造を進めてまいります。


※1.出典は、「2016年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望(㈱富士経済刊行)」。

※2.ボイド:ここでは、接合層内に形成される10μmを超える空隙を差す。ペーストを構成する溶剤の揮発によって発生する。図3(1)で観察される1μm以下の空隙はマイクロボイドと呼び、このボイドとは異なる。


図1 当社が開発した焼結型接合材料


図2 高温半導体素子使用時の模式図


図3 接合層断面の走査型電子顕微鏡像








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