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2016年10月欧州市場新車販売速報【JATO Dynamics】

2016年12月9日

2016年10月欧州市場新車販売速報
「欧州新車登録は前年同月比-0.5%で成長は減速」


10月の欧州新車販売市場は、前年同月比-0.5%の114万台。
SUVの10月総販売台数は302,851台と好調を記録するも、その他のセグメントの落ち込みを充分に補えず。
マーケットシェアを最も拡大したモデルは、Volkswagenの新型TiguanとOpel/Vauxhallの 新型Astra。

1.国別


欧州29ヵ国の新車登録台数10月実績は、前年同月比-0.5%の1,140,978台であった。これは、いくつかの国で販売日数が1日少なかったことと何ヵ月にもおよぶ成長の後、市場がピークに向かっているように見られる。この10月の落ち込みにもかかわらず、登録台数は2009年以来過去2番目の高水準を記録している。今後数ヵ月間における欧州新車市場は堅調な伸びを記録する見込みであり、月によっては変動しているもののマクロレベルでは市場が力強く成長しているのがわかる。

2.ブランド別


10月は、大手自動車メーカーがマーケットシェアを変動させており、Volkswagen Group、Renault-Nissan、PSA、Fordはいずれもマーケットシェアを縮小したが、プレミアムメーカーであるBMWとDaimlerは、FCA、Hyundai-Kia、General Motorsとともにマーケットシェアを拡大した。最もマーケットシェアを落としたのはPSAであり、前年同月比-0.73パーセンテージポイント。これは、Peugeot(前年同月比-4.7%)Citroen(同-9.1%)、DS Automobiles(同-28.9%)の3ブランドそれぞれが低調となったためである。Volkswagen Group のマーケットシェアは前年同月比-0.32パーセンテージポイントとなり、25.2%から24.9%へと縮小した。この減少の要因は、主力ブランドであるVolkswagenが前年同月比-8.0%、Porscheが同-12.2%と大きく販売が振るわなかったためである。これに対し、FCAはマーケットシェアでは過去最大のシェアを獲得。前年同月比+0.4パーセンテージポイント増加させ、マーケットシェアは6.2%から6.6%まで拡大した。この好調な要因は、Lancia(前年同月比+24.5%)とAlfa Romeo(同+21.3%)両ブランドの力強い成長である。
DaimleはMercedesの好調な業績の結果、マーケットシェアを前年同月比+0.39パーセンテージポイント引き上げた。登録台数は前年同月比+6.7%となり、Smartの前年同月比-0.5%の販売減を相殺した。好調ぶりが際立ったその他のブランドは、Kia(前年同月比+6.8%)、Seat(同+12.7%)、Jaguar(同+76.7%)、Abarth(同+25.3%)、Infiniti(同+67.4%)、Maseratei(同+47.3%)であった。

JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは次のように述べている。
「10月に欧州市場の成長が減速したため、自動車メーカーの大部分は南欧諸国や好調な販売を記録しているプレミアムブランドに大きく依存している。これは市場が移行段階にあることを示しており、欧州市場は今後数か月に渡って変動し続けていくであろう。」

セグメントランキングでは、SUVの業績は引き続き好調であり、10月登録台数は前年同月比+12.1%の302,851台を記録。コンパクト(C-SUV)とミッドサイズSUV(D-SUV)はそれぞれ前年同月比+22.5%、同+20.1%を記録したが、B-SUVは微増の前年同月比+1.3%、E-SUVは前年同月比-1.8%を記録。MPVセグメントは、マーケットシェアが-1パーセンテージポイント以上縮小し、登録台数が前年同月比-10.9%と伸び悩んだ。

3.モデル別


モデル別ランキングでは、排出ガス不正問題の継続的な影響と間近に迫った2017年型モデル販売への期待の結果として、Volkswagen Golfは前年同月比-21.7%と売上高の大幅な減少にもかかわらず、そのリードを維持した。これとは対照的にGolfの主なライバル車であるOpel/Vauxhall Astraは5位にランクイン。大幅増の前年同月比+55.8%を記録し、上位20モデルの中で最もマーケットシェアを伸ばした。この主な要因は、新型Astraの販売が好調なためである。サブコンパクトセグメントはFord Fiestaが堅調に推移し首位を維持。前年同月比+7.5%とした。対照的にVolkswagen Polo (前月同月比-9.9%)、Renault Clio (同-3.2%)、Peugeot 208 (同-3.5%)、Vauxhall Corsa (同-6.5%)は低調となった。
SUVの中で、Volkswagen Tiguanは9月にNissan Qashqaiに首位を明け渡したものの、10月はSUVベストセラーとなり首位に返り咲いた。Tiguanは、2016年4月に新型Tiguanが販売されたことにより、前年同月比+52.5%を記録した。
プレミアムモデルの中では、Audi A3が10月登録台数を16,288台記録し、ベストセラーとなった。Volkswagen Passatは、10月登録台数16,113台を記録し、ミッドサイズカーのベストセラーとなったが、前年同月比-22%と数字を落とした。
シティカーセグメントでは、Fiat Pandaがベストセラーとなり、10月登録台数15,032台を記録した。その他のモデルでマーケットシェアを拡大したのは、Fiat Tipo、Seat Ateca、BMW X1、Renault Talisman、Hyudai Tusconであった。

本稿の締めくくりとして、Felipe Munozは次のように述べている。
「10月は、Opel/Vauxhall AstraとVolkswagen Tiguanの新型モデルの好調が際立ち、両ブランドのその他のモデルが記録した大きな損失を相殺することに貢献した。」



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