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「ナノバランステクノロジー」の進化について【東洋ゴム工業】

2016年11月17日

分子レベルでの独自のゴム材料開発基盤技術における技術革新
「ナノバランステクノロジー」の進化について


東洋ゴム工業㈱(社長:清水隆史)は、2011年に確立した独自のゴム材料開発基盤技術「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」をさらに進化させ、より高性能なタイヤ開発が可能となる技術革新を図りました。今回、この最新技術によって実用化した新配合ゴムを当社のフラッグシップタイヤ「PROXES(プロクセス)」ブランドに採用し、新商品「PROXES Sport(プロクセス・スポーツ)」を開発しましたのでお知らせいたします。

Nano Balance Technologyは、求められる高度なタイヤ性能を導き出すために、ゴム材料を分子レベルで観察、予測、機能創造、精密制御することによって、理想的なゴム材料を高精度に開発する技術です。
当社では、分析/解析/素材設計/加工という4つの体系を横断的に統合したこの基盤技術を用いて、タイヤの転がりよさ(低燃費性能)と雨天時の制動性(ウェットグリップ性能)といった、二律背反する性能を高次元で両立させた低燃費タイヤブランド「NANOENERGY(ナノエナジー)」シリーズを上市したほか、他の乗用車用タイヤ、大型輸送車両用タイヤなどの開発にもこれを採用し、付加価値の高い商品群を提供しています。

低燃費性能が自動車用タイヤの備える必要条件になりつつある昨今、果たすべき環境性能の向上に、ナノ分子レベルでのゴム材料分析、解析、素材設計、加工というテクノロジーがもたらした意義は大きいといえるなか、当社はNano Balance Technologyの確立から5年の間に、4つの各体系における技術革新を進めてきました。特に今回、「ナノ解析」および「ナノ分析」において、さらなる性能向上につながる進化を実現しました。


■ゴム材料開発における当社の新たな技術革新
1.「ナノ解析」における進化 [ナノ タンデルタ シミュレーション]
(1)ゴム材料内部の精緻な構造シミュレーションモデルの構築
(2)シミュレーションモデルの定量評価(グラフ化)技術の確立 (業界初)


2.「ナノ分析」における進化 [ナノ ダイナミック サーチ]
(1)3次元での「フィラー構造」観察技術の構築
(2)高輝度X線によるゴム内部「変形挙動」観察技術の構築
(3)動的環境下でのX線フィラー構造情報の取得技術の確立 (業界初)


上記に示した「ナノ解析」および「ナノ分析」における進化によって、ゴム材料内部構造の『定量評価』、『動態確認』が可能となりました。これらの把握をもとにした「ナノ素材設計」作業は高効率かつ高精度化し、精密に制御された「ナノ加工」によって、より高性能・高品質なタイヤづくりが実現できます。

これら進化したNano Balance Technologyから新配合ゴムを実用化し、今回、当社従来品(PROXES T1 Sports)より、低燃費性能、ウェットグリップ性能をともに大幅向上した「PROXES Sport」は、今月末よりドイツで開催される「Essen Motor Show(エッセンモーターショー)」にて披露する予定です。


【解説】
1.「ナノ解析」における進化
ナノ解析とは、タイヤ用ゴム材料を適正にモデル化したのち、その配合に動きを与え、ポリマーとフィラーモデルを組み合わせた複合体構造が、どのように反応するのかを検証する分子シミュレーション技術です。このシミュレーションによって、最適なゴム材料の構造を予測します。
今回、従前のものと比べて、精緻なシミュレーションモデル(ゴム材料の構造の可視化)を独自に構築することができました。また、このモデルに対して、分子動力学シミュレーションを用いることで、エネルギーロスと粘弾性のマスターカーブを精度よく計算、グラフ化して定量評価する独自の技術を確立しました。
業界初のこの評価技術「ナノ タンデルタ シミュレーション」は、短時間での計算と定量化を可能とし、求める性能を導くために必要な配合予測が飛躍的なスピード※でできるようになりました。
(※従来、十年単位の時間を費やしていた計算が、2‐3日の実用レベルで可能となった。)

2.「ナノ分析」における進化
ナノ分析とは、タイヤのコンパウンドを構成するフィラーやポリマーなどをナノレベルの状態で観察する技術です。状態の分析を把握したうえで開発課題を発見し、構造の在り方を展望します。
従前までフィラー構造における分散性など配合状態を二次元で観察していたものを、さらに緻密な三次元で観察できる技術を構築しました。また、大型放射光施設(SPring-8)に独自の制作装置を持ち込み、高輝度X線によって、ゴム内部の変形挙動を観察する技術、さらには従前の静止状態ではなく、ゴム材料内部のフィラーの変化挙動を観察し、それらの情報を取得する技術を確立しました。
「ナノ ダイナミック サーチ」と呼ぶこの独自技術によって、タイヤが転動する状態や凹凸で変動する状態が観察できるようになり、ゴムの路面への追従性やフィラーの凝集体(基本粒子の集まり)の動きから可視化できたエネルギーロスの確認が、理想型の探索に有効となります。

3.市場への展開
Nano Balance Technologyの技術革新によって、市場における環境規制の高まりに応じた必要なゴム素材を速やかに選択し、タイヤ原材料として用いることが可能となりました。
当社は、最新の同技術を搭載した新商品を実用化し、11月26日(土)よりドイツのエッセン市で開催される「Essen Motor Show(エッセンモーターショー)」において当社フラッグシップタイヤとして対外発表を予定しています。




【本件に関するお問合せ先】
東洋ゴム工業㈱ 広報企画部
(本社)TEL:06-6441-8803 FAX:06-6446-1925
(東京)TEL:03-5822-6621 FAX:03-3865-2240


プレスリリースは報道機関向けの発表文章であり、そこに掲載されている情報は発表日現在のものです。
ご覧になった時点ではその内容が異なっている場合がありますので、あらかじめご了承下さい。








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