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2016年7月欧州新車販売速報【JATO Dynamics】

2016年9月1日

2016年7月欧州新車販売速報
「7月の欧州新車市場は34ヶ月ぶりにマイナス」


7月の欧州新車販売市場は、前年同月比-2.3%の116万台。
Volkswagenが最量販ブランドの地位を維持したものの、マーケットシェアを落とす。
SUVセグメントが前年実績+11.9%と引き続き高い伸び率を記録。

1.国別販売台数


欧州29ヶ国新車登録市場の7月実績は、2015年7月に記録した118万台から-2.3%の116万台に減少し、34ヶ月連続で維持していたプラス成長にピリオドを打った。最後にマイナスを記録したのは2013年の8月。このマイナスは、販売日数が前年同月よりも2日間少なかったことと、欧州最大の自動車メーカーであるVWグループ(-13.2%)とPSAグループ(-8.8%)の大幅な販売減が原因であり、欧州市場全体の販売に影響した。国別に見ると、英国が先月と比べプラス成長となったものの、前年実績微増の+0.1%であった。一方、欧州最大市場であるドイツとフランスでは、それぞれ-9.6%、-3.9%と大幅なマイナスを記録した。その他緩やかな成長を記録した国は、イタリア(+2.6%)、スペイン(+4.4%)であった。

2.ブランド別


ブランド別ではVolkswagenが136,393台を記録。マーケットシェアでは11.8%を占め、欧州最量販ブランドの座をキープしたが、販売台数、マーケットシェアともにマイナスに転じた。(2015年7月販売台数、152,863台。マーケットシェアは、12.9%)
販売台数では首位を維持したものの、トップ10ブランド中、前年実績-10.8%と最も販売を落としたブランドとなった。続いてSkoda、Peugeot両ブランドともに-10.5%と大幅なマイナスとなった。Volkswagenのマイナスの要因は、排ガス問題と今年10月のパリモーターショウで発表される新型Golfへの買い控えによる販売不振によるものと見られる。
一方、トップ10ブランド中最も大きく販売を伸ばしたブランドはMercedes。成長率で見ると、前年実績+3.7%の66,153台を記録した。トップ10圏外で2ケタ成長を記録したブランドは、Dacia(+11.5%)、Suzuki(+19.5%)、Mini(+10.7%)、Land Rover(+33%)、Honda(+15.3%)、Jeep(+11.4%)であった。その理由として、これらのブランドのSUVモデルが販売を2ケタ増へと大きく押し上げたためである。急成長したその他のブランドとしては、前年実績+218%の1,768台を記録したInfinitiであった。これは、同ブランドのQ30、QX30の堅調な販売が大きく貢献したため。また、JaguarがミッドサイズSUVのF-Paceの好調な販売が寄与し、前年実績+32.5%と大幅な伸びを記録した。

3.モデル別


モデル別では、Volkswagen Golfが月間登録台数約36,540台を記録し、欧州最量販モデルの地位を維持した。しかしながら、販売台数は前年実績大幅減となり、その結果、マーケットシェアは2012年12月以来2番目に低いシェアとなった。(2015年7月販売台数は46,628台。)これと同時に、同ブランドの最大のライバルであるOpel/Vauxhallの新型Astraが前年実績+26%の20,954台を記録し、4位にランクインした。その他のビッグプレイヤーでVolkswagen Golf同様に大幅に販売を落としたモデルは、Ford Focus (-12.3%)、Skoda Octavia(-17.9%)、Peugeot 308(-19.7%)、Audi A3(-25.9%)。
セグメント別で見ると、C-セグメントで販売増を記録したモデルはMercedes A-Class、Volvo V40の2モデル。コンパクトセグメントでは、Opel/Vauxhall Corsaが前年実績+9.2%と際立った伸びを記録した。対照的にライバル車のVolkswagen Polo(-6.1%)、Ford Fiesta(-3.3%)、Renault Clio(-11.4%)はそれぞれマイナスを記録。一方、同セグメントで大幅増を記録したのは、Dacia Sanderoの+30.5%であった。JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは次のように述べている。
「この7月は約3年ぶりにマイナス成長となった。これは欧州の市場環境と状況、またいくつかの人気モデル・ブランド群による大幅な販売減が欧州市場新車販売のマイナス成長に大きく影響したため。」
SUVセグメントでは、前年実績+11.9%と引き続き好調を維持した。この結果SUVセグメントは、欧州全体の25.5%までを占めた。これはD-SUVセグメント、C-SUVセグメントでの堅調な販売がSUVセグメント全体の販売を押し上げたため。一方大きく縮小したセグメントは、コンパクトセグメント、MPVセグメント、大型セダン/SWセグメントであった。SUVセグメント販売ランキングに目を向けると、1位にはNissan Qashqaiが18,373台を記録したものの、前年実績-6.9%であった。一方、新型ライバルモデルであるRenault Kadjar(+127%)、Hyundai Tucson(+586%)、Kia Sportage(+24%)が好調な販売を見せ、SUVセグメントの販売に大きく貢献した。新型Volkswagen Tiguanが先月のマイナスからプラスに転じ、前年実績微増の+0.2%を記録。Peugeot 2008が前年実績+6.9%を記録し、B-SUVセグメントの販売を大きく押し上げた。大型SUVセグメントでは、Volvo XC60が好調な販売を記録し、Mercedes GLC、Audi Q5、BMW X3を抑えて首位をキープした。8位にはD-SUVセグメントに属するJaguar F-Paceがランクイン。VolvoはXC90の好調な販売(+15%)がBMW X5(-4.8%)、Mercedes GLE(+78%)、Audi Q7(+5.3%)、Range Rover Sport(+31%)を上回り、同ブランドを大型SUVセグメント首位へと押し上げた。一方、MPVセグメントはVolkswagen Touranが前年実績+144%と最も大きく販売を伸ばしたものの、同セグメントのマーケットシェアは引き続き縮小し続けている。その他セグメント別のビッグウィナーは、ミッドサイズセグメントに属するAudi A4、Skoda Superb。コンパクトSUVセグメントではBMW X1。続いて、B-SUVセグメントではFord Ecosport、Suzuki Vitara、Jeep Renegadeであった。ミッドサイズSUVセグメントではNissan X-Trailが好調な販売を記録した。その対極的に大幅減を記録したモデルは、Mercedes CLS、Porsche Panamera・Cayenne、Volkswagen Touareg、Citroen C5、DS 5、Nissan Pulsar、Hyundai i40、Mitsubishi Space Starであった。本稿の締めくくりとして、Felipe Munozは次のように述べている。
「7月は少し残念な結果となったが、年間を通して見ると大きな影響を及ぼさないであろう。このマイナス成長は、ここ3年間でいくつかの欧州最大市場で見受けられた大きな成長による反動の影響である。」



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