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クルマの回路設計をもう一段レベル・アップする方法【日本テキサス・インスツルメンツ】

2016年8月31日

温度や圧力、レーダー、カメラ、超音波…これらは最新の自動車に使われるセンサの一例にすぎません。クルマには、他にもオーディオやビデオ、計器、コントロール・ユニットのような複雑なシステムが搭載されています。毎年、クルマにはより多くのシステムが追加され、それらの多くに正常な通信動作が求められます。そして、同じ電圧領域でない場合には、電圧トランスレータ/レベル・シフタが必要となります。

アナログ・ロジックの世界では、同じ電圧領域を使っていないことで、異なる最大電圧に変換されることがあります。異なるロジック電圧でシステムを通信・動作させる方法はいくつもあります。しかし、それらの多くが方向をコントロールするのに余分のビットを必要とする場合や、一つの方向でしか動作しない場合があります。『LSF0108-Q1』は、方向ピンを必要とせずにさまざまな電圧で動作する自動車品質の双方向変換器(トランスレータ)です。この記事では、『LSF0108-Q1』を使って、三つの別々の仮説信号バス、すなわちI2Cバスとセキュア・デジタル(SD)カード、カスタムFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)を変換し、中に含まれる要件について説明します。図1は、最終的な回路のグラフィック図です。


図1 『LSF0108-Q1』を使って三つの別々なバスを変換するための模式図:
プッシュ・プル出力と低入力リーク電流のためにプル・アップ抵抗は各チャンネルのハイ・サイド側にのみ置かれている


最初の2つの信号は、低速のI2Cバス用で、システムの2.5V一次電圧からデバイスの5Vロジック・レベルに変換されます。次の4本の配線は、SDカード向けで、50MHz以上の高速で2.5Vから3.3Vに変換します。このため、他のチャンネル(最大400Ω)よりもずっと低いプル・アップ抵抗を必要とします。最後の2本の配線は、3.3Vから1.8VでFPGA用に動作する、同じ回路基板上の別のコントローラからの変換のためにあります。プル・アップ抵抗はチャンネルごとに変換器のハイ・サイド側に全て配置されます。負荷容量と所望の周波数に基づいて値を選択します。

表1にこの情報をまとめました。これを行った方法についての詳細は、アプリケーションノート「LSFファミリを使った電圧レベルの変換」をご覧ください。


表1 変換される信号の概要


LSF0108-Q1』は、多数の電圧を変換することができます。基本的に電圧制御スイッチのように動作するパッシブな変換器を使っているからです。入力電圧がある一定のしきい値よりも下がると、スイッチは閉じ、出力は入力デバイスによって低く動作します。入力電圧が、そのしきい値よりも高いと、スイッチは開き、出力が高インピーダンスの状態になります。この点において、プル・アップ抵抗が出力ラインを支配し、所望の電圧に駆動します。そのデバイスのVref_AとVref_B、ENのピンがしきい電圧を制御します。図2は、異なるスイッチ状態で流れる電流を示しています。


図2 『LSF0108-Q1』を簡素化した機能:
赤い矢印は、入力が高レベルの時の電流の流れを示し、青い矢印は、入力が低レベルの時の電流の流れを示す


今回は、『LSF0108-Q1』を使って、三つの別々のバス用信号を変換する方法を示しました。三つのバスは全て異なる変換電圧を必要とします。通常は、少なくとも三つの異なるパーツが必要です。以前使ったことがあるユーザにとっても混乱しやすい点なので、デバイスの動作について単純化して説明しました。

最新のクルマでは、相互に動作しなければならないシステムがたくさんありますので、電圧変換はビルディング・ブロックとして組込み、デバイス同士で通信できなければなりません。それが、通信しなければならないコントローラであろうと周辺システムであろうと、『LSF0108-Q1』は、ユーザのロジック・レベルを所望のレベルにシフトできるようにしてくれます。


追加情報
アプリケーションノート : 「LSFファミリを使った電圧レベルの変換」(英語)
ブログ : 「車載アプリケーションにおけるレベル・シフタの活用」(英語)
『LSF010XEVM-001』双方向マルチ電圧レベル・シフタ、評価モジュール
ブログ:「クランプ・ダイオード : 一方通行 」(英語)


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※上記の記事はこちらのブログ記事(2016年8月17日)より翻訳転載されました。

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