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可変バルブタイミング機構の電動化により環境性能を向上【シェフラージャパン】

2016年5月26日

シェフラー初の電動可変バルブタイミングコントロール機構の開発で日産と協業
可変バルブタイミング機構の電動化により環境性能を向上


シェフラーは、日産自動車㈱(以下、日産)と共同で、当社初となるガソリンエンジン向けの電動可変バルブタイミングコントロール(Electric Cam Phaser、以下ECP)機構を開発しました。この技術により加速レスポンスの向上に貢献しつつ、年々厳しさを増すCO₂削減および排気性能向上への対応を実現します。

可変バルブタイミング機構は、運転状況によりエンジンの吸排気のバルブの開閉タイミングを制御することにより出力および環境性能を向上させます。このような技術はガソリンエンジンにおいては標準技術となっていますが、その多くは油圧制御を用いたもので、その駆動力をエンジン油圧に依存するために、その作動範囲(エンジン回転数/温度)および応答速度には制限があります。今回シェフラーが開発したECPは電動モータとギアボックスによってバルブの開閉タイミングを制御させるもので、すべての条件下における応答時間の向上や変換角度の拡大に貢献し、油圧制御と比較して高度で繊細な制御を行うことが可能になります。

ECPのメリット

従来の油圧制御の可変バルブタイミング機構では、エンジンが始動し油圧が供給されるまでバルブの開閉タイミングを可変させることはできません。つまり、低温では潤滑油の粘度が高いため、エンジン冷機始動後ある程度潤滑油が暖まるまでは作動できないという課題がありました。これとは対照的に、電動化されたECPでは、温度・油圧に関わりなくバルブ開閉タイミングを可変することが可能になります。また、ストップスタートエンジンアプリケーションにおいては、最適なバルブタイミングがエンジンの再始動前に設定されます。これらにより、排気エミッションの低減、燃費の向上、加速レスポンスの向上などに貢献することが出来ます。

可変バルブの電動化のために開発された技術

今回、シェフラー初となるECPには、独自に開発された減速機構「ウェーブジェネレータ(波動歯車機構)」を採用することにより、シンプルな機構で大きな減速比と高機械効率が達成できました。本技術を用いることにより、従来の油圧システムに対してより早い変換速度を実現しながらも、電動モータを小型化することができました。

シェフラージャパンの代表取締役社長 四元伸三は次のように述べています。「今回、日産との協業によりシェフラー初となるECPを提供できることを大変光栄に感じています。ECPは単体の部品開発とは異なり、エンジンの一部となるシステム開発になるため、精緻なすり合わせが必要になります。今回の開発は、シェフラージャパンの技術者が日産の開発チームと緊密に連携をとり、さらにドイツ本社の開発チームも日本を訪れて日産とともにワークショップを開くなど、シェフラーのローカルとグローバルR&Dの機能が融合した成果と考えています。今後も自動車の電動化・自動運転技術はますます進むと思いますが、今後2025年の段階でも依然としてほとんどの車両が内燃機関を持ち合わせているとグローバルでは予測しています。したがって、内燃機関の最適化によりCO₂削減および排気性能向上に寄与する技術への貢献は今後も引き続きシェフラーが注力する技術のひとつです。また、エンジンのみならずトランスミッションそしてeモビリティーと幅広く技術提供のできるシェフラーの強みを生かして、さらに日本のR&D体制を強化しながら、日本メーカーの開発に貢献していく考えです。」

「Mobility for Tomorrow(未来のモビリティー社会のために)」

シェフラーでは「Mobility for Tomorrow(未来のモビリティー社会のために)」を掲げ、社会のあらゆる機械や交通機関の未来のための取り組みを続けています。シェフラーの自動車部門では、世界各国での環境規制の厳格化に対応し、内燃機関の高効率化やドライブトレインの最適化、ハイブリッド化のためのソリューション、EV(電気自動車)向けのテクノロジーなど、多様な技術開発と製品提供を推進しています。今回開発されたECPもこうした取り組みの成果の一つです。








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