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世界初、燃料電池内部の酸素濃度を深さ方向にリアルタイムで把握 「FC-3Dモニタ FCM-3D-Oxy」を発売【島津製作所】

2016年5月23日

FC-3Dモニタ FCM-3D-Oxy


島津製作所は、燃料電池自動車を始めとする自動車分野などへの応用や家庭用燃料電池「エネファーム」として普及が期待される固体高分子形燃料電池(PEFC)内の酸素濃度をリアルタイムで測定できる「FC-3Dモニタ FCM-3D-Oxy」を5月23日に発売します。また、本製品を、5月25日から開催の「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2016 横浜」に出展します。

本製品は、PEFC内ガス拡散層(GDL)の深さ方向の酸素濃度をリアルタイムで直接モニタする世界初(当社調べによる)の装置です。GDL内部の酸素濃度を測定することで、発電効率を高める部材の設計および選定や気体流路の最適化への寄与が期待できます。

なお、本製品は、山梨大学をプロジェクトリーダーとして3大学3企業(山梨大学・㈱島津製作所・早稲田大学・慶應義塾大学・みずほ情報総研株式会社・パナソニック㈱)が参画したJST(科学技術振興機構)の「先端計測分析技術・機器開発」プログラムの開発課題「燃料電池内3次元反応分布可視化装置の開発」(平成23~26年度)による成果をもとに、当社が製品化したものです。


【開発の背景】
近年、水素利用社会の実現に向けた政府の指針や2020年東京オリンピック開催にともなう機運の高まりなどにより、燃料電池の実用化や応用に向けた動きが加速しており、将来的に燃料電池自動車や家庭用燃料電池などが普及すると予想されています。燃料電池メーカーや部材メーカーは、エネルギー効率の向上やコストダウンなどに関する研究開発を進めており、燃料電池内部で反応する酸素と水素の状態や、反応によって消費される気体濃度の経時変化を直接評価したいというニーズがあります。当社は、平成17~19年度に参画したNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクトの成果を通じて、PEFC内GDLの表面や気体流路の酸素濃度を測定し可視化する装置「FC-O2モニタ」を2009年に世界に先駆けて発売しましたが、運転中の燃料電池内部の酸素濃度を深さ方向に把握する装置はこれまでに無く、シミュレーションに頼らざるを得ないという背景がありました。

そこで、山梨大学をプロジェクトリーダーとするJSTプロジェクトにおいて、酸素と感応する蛍光試薬を塗布したプローブをGDLに直接挿入し、光学技術によって得た蛍光強度から深さ方向の酸素濃度をリアルタイムで測定する技術を開発して、当社が世界で初めて製品として実用化しました。従来製品は主に燃料電池メーカーへの導入実績がありましたが、新製品は部材メーカーなどへも訴求を図り、発売から3年間で国内20台の販売を計画しています。


【新製品の特長】
1.ガス拡散層内部5箇所の酸素濃度をモニタ可能
直径50μmの微細なプローブをPEFC内部に直接挿入する技術によって、GDL内の任意の位置・深さごとの酸素濃度をモニタできます。プローブは本体に5セット搭載しており、最大で5箇所までの同時測定が可能です。また、プローブの先端位置を自動で算出する機能も搭載しており、酸素濃度の経時変化や、測定場所ごとの酸素濃度の記録も可能です。

2.高速なデータ処理による酸素濃度のリアルタイム把握
従来製品のソフトウェアを応用し、深さ方向に測定する本製品用のソフトウェアを新開発しました。高速なデータ処理によって、5箇所同時測定時でもリアルタイムで酸素濃度とプローブの先端位置を記録することができます。

3.設置面積1m×1mで導入しやすい一体型ユニット
従来製品は装置が制御部と本体部に分かれており、暗室で使用する必要がありましたが、本製品は、制御部と本体部を一体化して設置面積1m×1mの単一ユニットに収めており、暗室の用意も不要です。お客様の研究開発現場にさらに導入しやすくなりました。



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