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HEV/EVの電子化を加速させる先進的なSiCパワー半導体を発表【STマイクロエレクトロニクス】

2016年5月18日

・車載パワー・モジュールをSiC化する製品が、対応車両を多様化し、利便性・信頼性を向上
・先進的な6インチ・ウェハにより、自動車 / 車載機器メーカーに優れたSiCパワー半導体を提供
・車載機器メーカーの新製品開発に合わせ、2017年初旬にAEC-Q101認定プログラムが完了予定


多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、ハイブリッド自動車(HEV)および電気自動車(EV)向けに、先進的で高効率なSiCパワー半導体と共に、車載用製品規格であるAEC-Q101の認定取得スケジュールを発表しました。

HEV/EVでは、電力効率の向上が燃費の向上を意味します。自動車メーカーは、STの最新のSiC技術を採用することで、より短時間の充電でより長距離を走行でき、よりドライバーの生活に合った自動車の製造が可能になります。STは、SiC技術のリーダーとして、トラクション・インバータ、オンボード・バッテリ充電器、および補助DC-DCコンバータなど、自動車の高電圧パワー・モジュールおよびディスクリート品で構成された電子回路ブロックに適した次世代ダイオードならびにパワーMOSFETを早い段階からリリースした企業です。

現在のパワー・モジュールは、通常、標準的なSiダイオードや絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(IGBT)を採用しています。ワイドバンドギャップ技術であるSiCは、動作電圧が400Vを超えるHEV/EVの駆動部分に、より小型のデバイスで対応することができます。SiCダイオードおよびSiCパワーMOSFETは、標準のSiデバイスよりも低い内部抵抗と短い応答時間を実現できるため、電力損失の最小化と関連部品の小型化が可能となり、システムのさらなる小型・軽量化に貢献します。

STのグループ・バイスプレジデント 兼 パワー・トランジスタ事業部ジェネラル・マネージャであるMario Aleoは、次の様にコメントしています。「大手自動車メーカーや車載機器メーカーは、さまざまな動作環境でSiよりも高い集積度を実現できるSiC技術を、今後の製品開発に活用していくことを表明しています。STのSiCデバイスは、優れた性能を実証すると共に、認定取得に向けて前進しており、当社は、2017年に新製品をリリースするお客様をサポートしていきます。」

STは、2014年、1200V耐圧SiCパワーMOSFETを発表し、高耐圧SiCパワーMOSFETを製造した最初の企業の1社となりました。この製品は、業界をリードする200℃の接合部温度を達成し、より効率的かつシンプルな設計を可能にしました。

STは、業界最先端の4インチ・ウェハ・プロセスを使用し、SiCパワーMOSFETおよびSiCダイオードを製造しています。製造コストの低減、品質の向上ならびに車載システムで必要となる量産体制を構築するため、STはSiCパワーMOSFETとSiCダイオードの製造を、2016年末までに6インチ・ウェハへ移行する予定です。

650V耐圧SiCダイオードは既にAEC-Q101に適合しており、最新の650V耐圧SiCパワーMOSFETと1200V耐圧SiCダイオードは2017年初旬、次世代の1200V耐圧SiCパワーMOSFETは2017年末までに同規格の認定を取得する予定です。

650V耐圧SiCダイオードのSTPSC20065WYは、DO-247パッケージ品が現在量産中です。また、650V耐圧SiCダイオードのシリーズには、低い定格電流で小型のTO-220パッケージで提供される製品も含まれています。1200V耐圧SiCダイオードのSTPSC10H12Dは、TO-220ACパッケージ品が現在サンプル出荷中で、2016年6月中に量産が開始される予定です。また、車載用製品規格に対応した製品は2016年第4四半期に量産が開始される予定です。1200V耐圧SiCダイオードのシリーズには、6A~20Aの定格電流で各種パッケージの製品の提供も予定されています。

650V耐圧SiCパワーMOSFETのSCTW100N65G2AGは現在サンプル出荷中で、HiP247パッケージで提供されます。2017年上半期に量産が開始される予定です。表面実装型パッケージ H2PAKで提供される650V耐圧SiCパワーMOSFETは、2017年上半期にAEC-Q101の認定を取得する予定で、よりコンパクトな設計を可能にします。

STのSiCパワーMOSFETについては http://www.st.com/sicmos を、SiCダイオードについては http://www.st.com/auto-sic-diodes をご覧ください。


技術情報
STの650V耐圧SiCパワーMOSFETであるSCTW100N65G2AGを、HEV/EVのメイン・インバータ(最大20kHzの通常周波数時)で使用した場合、IGBTソリューションよりも最大3%効率が向上します。この劇的な改善が、バッテリ寿命と走行時間の延長、ならびに放熱ユニットのコンパクト化による電力ユニットの小型・軽量化を可能にします。このSiCパワーMOSFETは、インバータの電力損失を軽/中度の負荷で最大80%低減するため、設計者はより高いスイッチング周波数で設計を小型化できます。また、SiCベースのソリューションは、非常に堅牢な真性ボディ・ダイオードを提供し、IGBTで使用するフリーホイール・ダイオードが不要なため、さらなるコスト低減と小型・軽量化を実現できます。

オンボード・チャージャやDC-DCコンバータなど、その他のHEV/EVアプリケーションでは、一般的なシリコン・デバイスよりも高速なスイッチング性能により、非常に高いスイッチング周波数が可能となるため、受動部品を小型化することができます。さらに、SiCパワーMOSFETはさまざまなトポロジで使用できるため、設計上の柔軟性が向上します。

これらの先進性が、HEV/EVにおける最先端技術に貢献しています。また、STの先進的な製造プロセスは、幅広い動作温度範囲での卓越した安定性など、競合製品を上回るメリットから、HEV/EVの信頼性向上、またより幅広いラインアップ構成が可能になります。

ST独自の優れた熱効率パッケージ HiP247™で提供されるSiCパワーMOSFETは、業界最高の接合部温度(200℃)を特徴としており、高温時でも非常に低いオン抵抗を実現しています。これにより、電力効率の向上、さらに放熱ユニットのコンパクト化によって基板設計もシンプルになり、温度管理をよりシンプルに行えるようになります。

STの新しい650V / 1200V耐圧SiCダイオードは、現在市場で流通している製品の中でもクラス最高の順方向電圧降下(V(F))を実現しており、HEV/EVパワー・コンバータにおいて熱として放出される消費電力量を最小化することができます。この優れた温度特性は、自動車の総合的な信頼性のさらなる向上に貢献します。


STマイクロエレクトロニクスについて
STは、私たちの暮らしに欠かすことのできないエレクトロニクス機器に、優れた性能と高い電力効率を特徴とした半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。あらゆるシーンで活躍するSTの製品は、お客様が開発する次世代モバイルやIoT機器の他、よりスマートな自動車、工場、都市および住宅を可能にします。STは、生活をより豊かにする技術革新を通じ、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。STは、10万社を超えるお客様に半導体を提供しており、2015年の売上は69.0億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( http://www.st-japan.co.jp )をご覧ください。


◆ お客様お問い合わせ先
〒108-6017 東京都港区港南2-15-1
品川インターシティA棟
STマイクロエレクトロニクス㈱
インダストリアル&パワー・ディスクリート製品グループ
TEL : 03-5783-8270 FAX : 03-5783-8216








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