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2016年3月欧州市場新車販売速報【JATO Dynamics】

2016年5月16日

2016年3月欧州市場新車販売速報
「3月の欧州市場は穏やかな成長、SUVセグメントが市場をリード」


3月の欧州市場は、前月に比べ成長ペースが減速、2016年1月〜3月累計の前年同期との比較では+8.1%となる。
引き続きSUVセグメントが成長のけん引役を果たす。前年同月比+22%、第一四半期の前年比では+25%を記録。
Volkswagen Golfが欧州最量販モデルの地位を維持したものの、マーケットシェアを落とす。
Peugeot 208、Opel/Vauxhall AstraそしてFiat Pandaが第一四半期に力強い販売を記録。
最も大きくマーケットシェアを伸ばしたモデルは、Hyundai TucsonとRenault Kadjar。

1.国別販売台数


欧州市場の3月の新車登録実績は、前年同月比+6.0%の174万台、第一四半期で見ると前年実績+8.1%の393万台と力強い成長を記録しました。本年2月に記録した高い伸び率(+13.8%)と比べるとスローダウンしましたが、成長率は欧州全体で前年同月比+6%であり、調査対象29ヶ国中23ヶ国でプラス成長を記録するなど、引き続き成長軌道を維持しています。2016年1月〜3月累計では、前年同期比で26ヶ国がプラス成長、その内16ヶ国は2ケタ増を記録しました。3月の季節調整済み年率換算では、本年の欧州新車市場は1,498万台規模に達する見込みです。
セグメント別では、SUVセグメントが3月も引き続き市場のけん引役を担っています。2016年第一四半期の新車販売台数のおよそ25%をSUVセグメントが占めました(前年同期の同セグメントのシェアから、21.7%拡大)。一方、Bセグメント(サブコンパクト)とMPVセグメントは、各セグメント中、最も大きくマーケットシェアを落としています。

2.ブランド別


2016年3月も、Volkswagenブランドが月間登録台数約179,618台を記録し、欧州最量販ブランドの座を維持しました。第一四半期の国別では、オーストリア、ベルギー、クロアチア、デンマーク、ドイツ、ラトビア、オランダ、ノルウェー、スロベニアそしてスイスの各マーケットでトップの位置にあります。しかしVolkswagenはまた、主要ブランド中で最もマーケットシェアを落としたブランドにもなってしまいました。3月単月では、2015年9月以降最も低い数値となる10.29%(2015年3月は11.10%シェア)へと縮小、2016年第一四半期では11.02%(2015年第一四半期は11.97%)となっています。対照的に、第一四半期に最も大きくマーケットシェアを拡大したブランドはFiat、MazdaそしてBMWでした。特にFiatとMazdaの両ブランドは、欧州市場のSUVに対するニーズの高まりを適切に捉え、セールスを伸ばしました。JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは次のように述べています; 「全体的には、市場はポジティブに成長し続けているといって良いでしょう。欧州最大の自動車メーカーが現在直面している困難にも係わらず、消費者は各ブランドがリリースする新型モデルに敏感に反応しています」。

3.モデル別


モデル別では、Volkswagen Golfが月間登録台数約56,000台を記録し、欧州最量販モデルの地位を維持しました。ただ、マーケットシェアは前年同月にマークした3.39%から、先月は3.21%へと落ちています。成長率で見ると、欧州最量販モデルであるGolfは2015年3月との実績比0%に留まりましたが、それでも他ブランドの人気モデルに比べればまだポジティブな結果でした。Ford Fiestaは前年同月比-11%、Opel/Vauxhall Corsaも同-11%と、マイナスを記録しました。この両サブコンパクトモデルは、大市場である英国とドイツで2ケタのマイナスとなるなど、困難な時期を迎えています。これはFiestaとCorsaに限った話ではなく、販売ランキングトップ10モデル中、プラスを記録したのはPeugeot 208 (+4%)、Opel/Vauxhall Astra (+18%)、そしてFiat 500 (+12%)の3モデルだけでした。Fiat 500は、例年3月に来る英国市場の販売ピークの影響に後押しされ、トップ10に返り咲きました。
2016年1月〜3月累計の前年同期比の結果から、トップ5モデル中4モデルがセールスを減らしていることが明らかになりました。Golfが前年同期比-2%の約130,400台、Ford Fiestaは-4%、Renault Clioが-3%、そしてOpel/Vauxhall Corsaが-6%の販売減でした。一方トップ5モデル中Volkswagen Poloのみがプラス(+3%)を記録しました。6位につけたPeugeot 208は、1位から5位までのモデルを上回る (+13%)伸びを記録し、マーケットシェアは前年同期実績+0.08パーセンテージポイント拡大しました。7位にはNissan Qashqaiが66,200台を記録し、SUVの欧州ベストパフォーマーの座をキープしましたが、伸び率では前年同期比1%のプラスに留まりました。これらの各モデルがマーケットシェアを落としている理由として、競争がより激しさを増していることが上げられるでしょう。例えば、新型Opel/Vauxhall Astraは前年同期の16位から今期は8位にまでジャンプアップし、販売台数も+30%と大きく伸ばしました。Astraの躍進にはドイツ市場での好調(+46%)が寄与しており、英国での販売減(-2%)を相殺しました。
マーケットシェアの伸び率に注目すると、トップ10モデルのうち7車種がSUVセグメントに属するモデルとなりました。中でも、英国、ドイツ、イタリアそしてアイランドでの好調な販売が寄与した新型Hyundai Tucsonが約1%のマーケットシェアを握り、ベストパフォーマーとなりました。コンパクトSUVセグメントに限ればTucsonは、Volkswagen TiguanやFord Kugaといったライバルを押さえ、販売台数で第3位に位置するモデルです。Tucsonに続いて、RenaultのコンパクトSUV、Kadjarがマーケットシェアを+0.84%に伸ばし、ベストパフォーマーランクの2位に入りました。同モデルは、欧州全体の販売台数の内、およそ30%をフランスで売り上げています。続いてSuzuki Vitara、Fiat 500X、Mercedes GLC、Mazda CX-3そしてBMW X1のSUVモデルがマーケットシェアを伸ばしており、またSUV以外のセグメントでは、Opel/Vauxhall Karl/Viva、AstraそしてSkoda Superbもマーケットシェアを拡大しました。本稿の締めくくりとして、Felipe Munozは次のように述べています;「伝統的なセグメントのシェアが縮小するのに反比例するように、SUVセグメントが引き続き力強い成長を維持しています。第一四半期の結果からも、消費者ニーズのトレンドは、サブコンパクト/ コンパクト/ MPVモデルからスモールSUVやコンパクトSUVモデルへのシフトが明らかであると言ってよいでしょう」。



JATO Dynamics 社について
JATOは1984年に設立され、世界で最もタイムリーで正確な最新の自動車仕様装備・価格・登録販売台数・ニュース及びインセンティブに関するデータを提供しています。JATOは世界45カ国以上にリサーチ拠点を持ち、独自の市場情報を提供しています。JATOの顧客は、世界中の自動車メーカーであり、短期的な市場変動に対応するための情報と、長期的な開発計画や顧客ニーズに対応するための情報を提供しています。JATOのデータは、消費者向け自動車ポータルサイトでも利用されており、消費者が購入しようとするモデルの競合車に対する優位、不利な点を表示することが出来ます。


JATO社Webサイトwww.jato.com
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